第二回足の構造と機能研究会 発表報告

 2019年6月1日~2日に大阪府の森ノ宮医療大学で開催された第二回足の構造と機能研究会において
当院の高野秀人理学療法士が「難治性足底腱膜炎に対する体外衝撃波治療の疼痛推移」という演題名でポスター発表を、
当院の松岡佑紀理学療法が「アキレス腱周囲炎とKager’s fat pad移動量の関係性」という演題名で口述発表を行いました。
 

 

 足底腱膜とは踵から足の指へ広がる腱で、歩行やランニング時に土踏まず(アーチ)を支える機能があるとされています。そこに痛みが生じる足底腱膜炎は足底腱膜に過剰なストレスが加わり、微細損傷や炎症が発生した状態のことを言います。歩行時やスポーツ時に踵周囲の痛みを生じ、慢性的な症状に移行することも少なくありません。
 慢性的な症状に移行した難治性足底腱膜炎に対し、体外衝撃波治療 が2012年に保険収載され、以後治療として用いられるようになっています。
 体外衝撃波治療とは、腎臓結石などの治療として一般的に用いられており、近年では整形外科領域の腱付着部障害や骨性疾患においても低出力の衝撃波が利用されるようになりました。 
 当院でも体外衝撃波治療を導入しており、今回難治性足底腱膜炎に対する体外衝撃波治療の短期的な痛みの推移(4週)を調査しました。
 調査の結果、短期間での痛みの推移には規則性を認めないにもかかわらず、最終治療時の治療効果の高い群と悪い群に分けられました。このことから、数回の治療で効果が得られなかった場合でも 複数回治療を継続することで痛みの改善が生じる可能性があることがわかりました。

 この研究会はその名のとおり足の構造と機能について各地の足のスペシャリストが集いました。
 リハビリテーションを実施する上での基礎である解剖学の新しい知見や、実際の臨床現場での試みなどを口述・ポスター形式で意見交換を行いました。実際に研究成果を発表し、多くの方と意見交換することによってさらに自身の研究のヒントが得られたと思います。研究を研究の枠だけにとらわれず、臨床の現場に活かし、患者さんに還元できるように今後も精進してまいります。
長野整形外科クリニック 理学療法士 髙野秀人

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 アキレス腱周囲炎はリハビリでの治療に難渋する疾患であり、治りづらい疾患の一つとされています。アキレス腱周囲炎の発症機序は未だに明らかでなく、そのため様々な治療が行われていますがその有効性は実証されていないのが現状です。
 私の今回の研究はそのアキレス腱周囲組織のKager’s fat pad(KFP)(図1)という組織の動きに着目しました。
 
図1.エコーで見たKFP

 KFPは柔らかいクッションの機能を持っている組織で、この組織が固くなるとアキレス腱への負担が大きくなります。実際にエコーを用いてKFPの動きを観察すると、先に行われている研究で健常な足では5㎜前後動くといわれています。私はこのKFPの動きをアキレス腱周囲に痛みのある方で調査を行なった結果、平均移動距離は2.7㎜で痛みのない人と比べてKFPの動きが小さい事がわかりました。



 この研究結果からアキレス腱周囲に痛みのある方はKFPの機能が低下している事が明らかになりました。今後はアキレス腱周囲に痛みのある方のKFPに治療を行い効果が得られるか検証を行おうと考えています。また、私自身初めての足関節に特化した研究会に参加し、多く得るものがありました。今回得たものを患者さんに還元し、より良い医療を提供できるように精進していきます。
長野整形外科クリニック 理学療法士 松岡佑紀
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