第31回 日本腰痛学会 参加報告

第31回 日本腰痛学会

2023年12月1~2日に、徳島県の『アスティとくしま』で開催された第31回日本腰痛学会に当院理学療法士の勝又哲、田中聡子、井関航、増田泰輔が参加致しました。以下にコメントと発表内容を掲載致します。

勝又哲

 日本腰痛学会は年に1度開催され、腰痛に携わる多くの職種が集う会です。今回の学会では、腰椎分離症の発表が最も興味深かったです。
 MRI、CTの検査をしないと診断がつかず、患者さんの負担が大きくなっていた腰椎分離症について、超音波での診断が今後必要になってくると考えられています。
 また、練習量が多くなると分離症になりやすいという意見があり、原因動作がわかっていても疲労してくると負担がかかる肢位、蹴り方、打ち方、投げ方等になりやすく分離症を引き起こすことがあるとのことです。この部分については、再発の面もしっかり対応できるような理学療法が展開できるように治療プログラムを考え直すことが必要だと考えています。
 サブテーマである「pain generatorを見究める」とあるように、腰痛は完全に解明されていない部分もありますが、痛みの原因を探ることが重要であると考えられます。
 当院でも腰痛にしっかり向き合い、「腰痛撲滅」ができるよう日々臨床に取り組んでいきたいと思います。

田中聡子



発表内容 演題名【産前産後期における腰部骨盤帯痛有訴率の経時的変化】
24名の妊婦を対象にした縦断研究を行いました。
腰部骨盤帯痛の有訴率は妊娠後期が91.7%と最も多く、産後3-4か月で50%まで低下しますが、産後5-6ヵ月に62.5%と、再び上昇しました。
疼痛強度や疼痛部位も、産後の月数によって特徴があることがわかりました。
妊娠出産を機に腰痛を発症する方は少なくありません。
産褥期以降、痛みが消える方が多いですが、なかなか痛みが消えない方もいらっしゃいます。
また当院を受診された女性の中には、『出産後からずっと痛かった』とおっしゃる40代、50代の方もいらっしゃいます。
産後だからといって、腰痛は当たり前ではありません。
もし今、お痛みを感じていらっしゃるなら、医師にご相談ください。
調査に協力してくださった妊産婦の方々に、心より御礼申し上げます。

井関航


   
発表内容 演題名【脊椎圧迫骨折患者に対する理学療法の有無が椎体圧潰変化率に与える影響】
脊椎の圧迫骨折は高齢者の骨折で最多と報告されています。
脊椎の椎体が潰れてしまうと、背中が丸くなり(後弯変形し)、腰痛が慢性化しやすいと報告されています。
今回、痛みの軽減や、変形の予防のために行うリハビリテーションが、脊椎の椎体自体に及ぼす影響について過去のレントゲン画像から調査しました。
結果は、リハビリテーションを行っていた者は、有意に椎体の中央部(骨折した椎体の真ん中部分)が広がっていることが分かりました。
椎体の変形が進行しないようにするには、リハビリテーションが有用である可能性が示唆されました。
今後も研究を続けて、患者様の訴えを少しでも軽減できるように努力して参ります。

増田泰輔


   
発表内容 演題名【慢性腰痛に対するRECOREを用いた腹部体幹筋強化エクササイズの即時効果】
『慢性腰痛に対するRECOREを用いた腹部体幹筋力強化エクササイズの即時効果』という演題名で口述発表をしました。
結果は腹部体幹筋力強化エクササイズは実施前と比較して即時的に動作時痛が改善することが示唆されました。
また、なかなか意識しにくい腹部体幹筋トレーニングですが、RECOREを用いることでモニターを見て客観的に腹部体幹筋をトレーニングできるのでより効果的と考えます。
さらに、今後はRECORE群とそうでない群との比較検討や治療効果の長期成績について研究を進めていきたいです。
今回の学会で得られた知見を臨床に生かし、腰痛に悩む患者様の力になれるように精進してまいります。

最後に

ご協力頂いた先生方、患者様に心から感謝申し上げます。
今後とも、アレックス脊椎クリニックをよろしくお願い致します。

 
アレックス脊椎クリニック リハビリテーション科
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