腰椎分離症の症状とその原因、運動療法について

2018/07/31
理学療法士
勝又 哲

腰椎分離症とは



腰椎分離症は、発育期のスポーツ選手に多い背骨の疲労骨折のことです。
発症は、小学生~中学生の発育期で成人してからの発症は稀です。
ジャンプや投球動作などのを反ったり回旋する動作を繰り返すことで発症します。

初期の段階で治療をすれば保存療法によって治癒する確率は高いですが、分離症を放置すると偽関節(いつまでも骨がつかない状態)になる可能性が高くなり骨癒合が不可能になります。

分離症を治療せずに放置すると、すべり症(腰椎のズレ)を起こして脚のしびれが出るなど重篤な後遺症を伴う場合があります。

腰椎分離症の検査は何をするの?

当院では、レントゲン・MRI検査・CT検査を 可能な限り早急 に行い、早い段階での腰椎分離症の診断・治療を目指します。
また理学療法士・柔道整復師の指導の下、リハビリテーションを積極的に行い、身体の使い方、スポーツ動作のフォームを習得、同時に柔軟性も獲得し、早期にスポーツ復帰を目指します。
 

腰椎分離症の分類を知ろう


腰椎分離症は、その進行具合を「初期進行期終末期」の3つに分類します。
その分類は、CT検査で確認していきます。
しかし、超初期の分離症の場合は、レントゲンやCT検査で判断する事ができないため、MRI検査を併用し確認することが大切です。
CT検査とMRI検査の結果から、これから骨癒合(骨折部分がくっついて骨折が治ること)が望めるかどうかを判断します。


 

腰椎分離症の進行と骨癒合率

①超初期の場合

骨癒合率(骨折部分がくっついて骨折が治ること)は100%です。
骨癒合の期間は約2ヶ月半です。

②初期の場合

骨癒合率は90%以上で、骨癒合が期待できます。
骨癒合の期間は約3ヶ月です。

③進行期の場合

骨癒合する場合と、骨癒合しない場合があります
骨癒合の確率は、MRI検査の画像の結果である程度判断できます。
MRI画像で炎症所見がある場合、骨癒合率は約60%炎症所見がない場合、骨癒合率は約30%です。
骨癒合の期間は約6ヶ月です。

④終末期の場合

骨癒合率は0%で、骨癒合は望めません
治療はまず疼痛の管理から開始し、痛みに応じて運動再開となります。


*分離症が片側なのか両側なのか、また年齢によっても骨癒合の期間と確率は変わってきます。
 

腰椎分離症の治療の流れ

腰椎分離症(初期・進行期)と診断されたら・・・
①日常生活上で反ったり、捻ったりしないようにコルセット(装具)を作成し日常生活で着用していきます。
②日常生活での腰痛や分離部を押した痛みが消失した時期に、再度MRI検査やCT検査を行い、分離部の状態を確認します(約2~3ヵ月後)
③CT検査で骨癒合が確認出来たら、理学療法士、柔道整復師の指導のもとで、コルセットを装着しながら徐々に軽い運動からを再開していきます。

※終末期の分離症では骨癒合を期待できない為、体幹筋力強化と全身の柔軟性の向上を目的にリハビリテーションを開始し、痛みの程度に応じて運動を再開していきます。

*運動の再開時期には分離状態などにより個人差がありますので、医師と理学療法士・柔道整復師が相談の上、再開時期を検討していきます。

コルセット(装具)療法

当院では初期または進行期の腰椎分離症と診断されると、コルセット(装具)を作成します。
これは、ギプスシーネに半硬性装具を合わせた装具で、腰を反る動作と捻る動作を制限します。

コルセットの巻き方


この記事を書いたスタッフ
理学療法士
勝又 哲
アレックス脊椎クリニックに勤務しております理学療法士の勝又哲と申します。現在、リハビリテーションで勤務し、来院する患者様の治療に全力で満足いくように治療させて頂いております。
スポーツは大好きで小学生はサッカー、バスケットボールをはじめ、それから、
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