腰痛と体幹深部筋機能の関係性とは

2017/05/16

体幹の筋肉について

近年、体幹トレーニングという言葉を耳にすることが多くなっています。体幹の筋肉を鍛えることでスポーツ動作などを行う際に、身体の軸をしっかりと保てるようになると言われています。
体幹の筋と一言で言っても、様々な筋肉が存在します。そして、その機能も様々です。主な筋肉を紹介します。

腹直筋

腹直筋は体幹の前方表層に位置する筋肉で、一般的に腹筋と呼ばれる筋肉です。お腹が6つに割れるというのも、この筋肉が肥大することで起こります。

外腹斜筋

外腹斜筋は側腹部の筋肉の中で、最も表層に位置する筋肉です。身体を反対方向に捻る筋肉なので、例えば右の外腹斜筋が働くと身体は左側に捻られることになります。
 

内腹斜筋

内腹斜筋は側腹部の筋で中間の深さに位置する筋肉です。身体を同じ方向に捻る筋肉なので、例えば右の内腹斜筋が働くと身体は右側に捻られることになります。

腹横筋

腹横筋は側腹部の筋の中で最も深層に位置する筋肉で、コルセットのように腹部から背部までを覆うように付着しています。
この筋肉が働くとお腹の中の圧力は上昇し、体幹が安定するとされています。
 

脊柱起立筋

脊柱起立筋はいわゆる背筋と呼ばれる筋肉です。この筋肉が働くことによって、背中や腰を反らしたり、背筋運動をしたりすることができます。また、立っている時や歩いているときにも自然とこの筋肉は働いており、身体が丸まってしまわないようにしてくれています。

多裂筋

多裂筋は背筋の中で、最も内側に位置する筋肉です。多裂筋脊柱起立筋とは違い、腰椎胸椎骨ひとつひとつを繋いでいます。腹直筋外腹斜筋内腹斜筋脊柱起立筋のような表層の筋肉は身体を動かすために大きな力を発揮します。
一方,腹横筋多裂筋のような深部の筋肉は大きな力は発揮しない代わりに、背骨を安定させるための機能を果たしているとされています。実際に立ったまま手を挙げる動作を行った場合、手を挙げる肩の筋肉よりも先に腹横筋が働いて身体を安定させておくと報告されています。

また、腰痛を持つ方はこのような動作に先行した腹横筋の働きが見られなくなっているとされています。そのため、これらの深部の筋肉の活動をしっかりと鍛え直すことで腰痛の治療や予防ができると考えられています。

しかし、腹横筋のトレーニングは非常に意識のしづらいものです。当院のリハビリテーションでは超音波で筋肉をモニターに映し出し、筋肉の動きをリアルタイムで確認しながら、トレーニングを行っていきます。
その際、リハビリテーションのスタッフのみならず、患者様ご自身にもモニターを見て頂きます。
筋肉が動くのを視覚的に確認しながら、筋肉を働かせる感覚を掴んで頂きます。

 

超音波画像から見る腹横筋

下の写真が実際に腹横筋を映した超音波画像になります。
側腹部を超音波で確認すると、このように筋肉は3層になっています。
 


またこちらの2枚の超音波画像は、リラックスした状態と、腹横筋を働かせた状態のものになります。
 


右の画像は仰向けで寝て、リラックスした状態です。
一方、左側の画像は、尿を我慢するように軽く下腹部に力を入れた状態です。
 

腹横筋が少しだけ厚くなり、また筋肉の右端の部分が左側に移動しているのがわかると思います。
これは、筋肉が収縮して厚くなり、端の部分が引っ張られるためです。
 

このような運動をする場合、強く力を入れすぎてしまうと、表層の外腹斜筋内腹斜筋が強く働きすぎてしまいます。
しっかりと腹横筋の働きを改善したい場合、超音波で筋肉の動きを確認しながら運動することは非常に有効な方法です。

選択的に深部の筋肉をトレーニングしていくことで、腰部を安定させて腰痛の改善につなげていきます。

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