骨の仕組みと薬物による治療

骨の仕組み

骨は、骨格を形成する基礎であり、且つ体内のカルシウム代謝の調節を行う臓器です。よく鉄筋コンクリートに例えられます。
鉄筋部が骨質(コラーゲン、竹の様なしなやかさ)、コンクリート部(皮質骨・海綿骨)であり、いずれも新陳代謝(骨形成・骨吸収)して保持されています。
古い骨が壊されることを骨吸収(こつきゅうしゅう)、新しい骨がつくられることを骨形成(こつけいせい)といいます。
この骨吸収と骨形成のバランスが保たれることで、健康な骨がつくられます。  
閉経女性では女性ホルモンが枯渇することで、この新陳代謝が亢進し、骨吸収が優位となって骨が溶け出し、骨粗鬆症が進行します(閉経後5-10年)。
YAM値70%、もしくは骨折既往のあるYAM値70-80%の境界領域の方には、生活改善とともに薬物治療をお勧めします。
治療の目的は、趣味や人生を謳歌できるよう、健康寿命を維持し、人生最後まで骨折で寝たきりを作らないことです。

 

骨吸収とは 


古くなった骨のカルシウムやコラーゲンを分解・吸収する破骨(はこつ)細胞のはたらきによって、古い骨が壊されることをいいます。 
 

骨形成とは


骨の表面にコラーゲンをつくり、そこに血液から運ばれたカルシウムを付着させるはたらきを持つ骨芽(こつが)細胞によって、新しい骨がつくられることをいいます。

 骨粗鬆症の治療介入

骨形成を促すもの、骨吸収を抑制するもの、材料補給するものなど現在は様々な薬剤が使用可能です。
剤形も内服、注射(皮下、静脈注射)などあります。
当院ではその患者様の骨密度、骨代謝、年齢、性別、リスク因子、生活様式を総合的に評価し、オーダーメイドで治療内容を提示し、選択していただきます。

活性型ビタミンD3製剤

腸管からのカルシウム吸収を促進し、腎臓でのカルシウム再吸収を促進。骨吸収を抑制、さらに骨芽細胞に作用し、骨形成を促進します。
現在日本で使用できる薬剤は、3種類あります。
第2世代のエルデカルシトール(エディロール®)が、骨折予防には効果が高いですが、慢性腎臓病(CKD)患者への投与は注意が必要であり、多種の薬剤を使い分けます。また他剤と併用するbase薬剤でもあります。

ビスホスホネート製剤、抗RANKL抗体製剤

破骨細胞に作用し、骨組織へ沈着する事で骨吸収を抑制します。骨粗鬆症治療のスタンダード治療であり、以前の第1選択でした。そのため剤形が豊富であり、内服は連日(アクトネル®など)、週1(ボナロン®など)、月1製剤(リカルボン®など)、注射は月1(ボンビバ®)、年1製剤(リクラスト®)があります。骨強度を上げ、早急の骨折予防や休薬後も骨に沈着するため、作用が持続する事が長所ですが、反面、骨形成も抑制してしまうため、リフレッシュ期間(休薬期間)を設けるよう意識して使用しています。
同様の作用のある抗RANKL抗体製剤(プラリア®)は、骨への定着は弱く、十分な骨吸収抑制と骨形成維持を保つ薬剤であり、6か月毎の皮下注射などの利便性から使用頻度が上がっています。

選択的エストロゲン受容体調整薬(SERM:サーム)

骨選択性の高いエストロゲン受容体を介して骨吸収を抑制します。エストロゲンは骨量の増加に関わっており、閉経後はエストロゲンが減少し骨量が低下していきます。
SERMを内服することにより、骨代謝に関わるエストロゲンのバランスを調整し、骨量を増加させる作用があります。
女性にしか適応がありませんが、骨質改善に効果があるため軽症で、比較的若年患者へ使用しています。

副甲状腺ホルモン製剤

もともと体内にあるカルシウム代謝を調整するホルモンですが、これを間欠的投
与する事で骨吸収促進薬と使用されています。連日自己皮下注射型(フォルテオ®)、週1皮下注射型(テリボン®)があります。
いずれも効果は大きく、特に新規椎体骨折(圧迫骨折)後の骨折治癒効果が上がると言われており、骨折発症時に使用されることが多いです。
またテリボン®は骨代謝亢進を正常化する作用があり、高回転骨代謝型(閉経女性で一番多いタイプ)に合った治療法です。
 

抗Sclerostin抗体製剤

2019/2月に新規採用となった骨形成促進剤です。まだ新しい薬剤です。
以前の治療法が、かすむ程の骨密度増加作用を有します。適応をしっかりと吟味して使用すれば、非常に効果のある治療選択となりえます。
 
 
いずれの薬剤も長所、短所があり、当院では、ひとりひとりに合わせた薬物治療を提案します。
また画一的な治療ではなく、遂次療法やライフスタイルに合わせた治療変更も可能です。

アレックス脊椎クリニック
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