アキレス腱が断裂する原因と治療について「アキレス腱断裂」
アキレス腱とは?
アキレス腱は「腓腹筋」と「ヒラメ筋」が収縮した時の力を踵(かかと)の骨に伝える強靱な腱です。「腓腹筋」と「ヒラメ筋」はつま先立ちや走る動作など、体を持ち上げる時や地面を蹴る時に働く筋肉です。これらの筋肉が発揮した力をうまく伝達してくれることで、普段の日常で行ってる動作やランニングなどの動作が可能となります。
アキレス腱断裂の原因は?
アキレス腱断裂はアキレス腱に強い伸張ストレス(引き伸ばされる力)と「腓腹筋」と「ヒラメ筋」の収縮が同時に起こった時に発生します。踏み込みやダッシュ、ジャンプなどの動作時に起こることが多いです。微小な外傷が繰り返し起こることによって血流が減少すると腱が変性し、その強靭さが徐々に失われていきます。踵骨隆起から約2~6cm上方の位置が最も腱の血流が悪くなる場所であり、変性によるアキレス腱断裂の好発部位です。
20~30歳代の習慣的にスポーツを行っている人に多くみられますが、40~50歳代の人が急にスポーツをした時に生じることもあります。
症状
・受傷時に「後ろから蹴られた」「ブチッと音がした」と感じることがある
・歩行困難
・つま先立ちができない
画像・診断について
身体所見(アキレス腱断裂部の陥凹、圧痛、トンプソンテスト)や超音波・MRIによる画像診断が有用です。超音波画像
例)
アキレス腱 長軸像
矢印(赤)アキレス腱の腫脹と低エコー像、腱繊維構造の不整像が見られる。
治療について
アキレス腱断裂の治療法としては大きく分けて保存療法と手術療法があります。保存療法のメリットは手術による傷が残らない、傷口が感染する危険性がないことです。デメリットはアキレス腱治癒のため固定(足首を動かさない)と免荷(足に体重をかけない)をする期間が手術に比べて長いことがあげられます。
手術療法のメリットは、保存療法に比べて固定・免荷期間が短くスポーツ復帰が早いことです。手術するにあたり、早期の診断と治療が良好な回復経過をたどるといわれています。受傷から長時間が経過してしまうと、手術による時間的メリットがなくなること、アキレス腱が断裂した部位が瘢痕化して変性してしまい手術後の予後が悪くなってしまう事があります。
アキレス腱断裂を疑う場合は早めに病院を受診し、医師からの診断を受け、治療方針を決定することをお勧めします。アキレス腱断裂は保存療法と手術療法のどちらにおいてもリハビリが大切となります。