今回は投球動作で肩上から後ろに痛みが出る方のリハビリーテーションを紹介します。
このような症状を訴える方は多く、肩と肩甲骨とのアンバランスが起きているため、柔軟性の獲得のみではなく、筋力強化も必要です。
症例
年齢:17歳性別:男性 某高校硬式野球部所属
ポジション:外野手・投手
経過
投球時の肩前上方の痛みを訴えて来院、医師の診察で骨、筋肉の損傷はみられず投球障害肩と診断し、リハビリテーション開始しました。
医師からの投球禁止の指示はなくプレーを続けながらリハビリテーションを実施しました。
主訴・痛み
投球動作アクセレレーションフェーズでの肩上〜後上方の痛み
理学所見
痛みの再現 MER
肩の柔軟性低下 CAT HFT
肩後ろの筋肉の柔軟性を確認する検査で、左右差や肘の位置で判断します。投球側の柔軟性低下がよくみられます。
肩のインナーマッスルの筋力低下
肩甲骨周囲の柔軟性低下・筋力低下
肩甲骨の位置の異常を確認する検査です。
仰向けで寝た姿勢や座った姿勢で確認し、写真のように肩甲骨が浮き上がると検査陽性とし、胸の筋肉の柔軟性低下や肩甲骨周囲の筋力低下を疑います。
仰向けで寝た姿勢や座った姿勢で確認し、写真のように肩甲骨が浮き上がると検査陽性とし、胸の筋肉の柔軟性低下や肩甲骨周囲の筋力低下を疑います。
実際のリハビリテーション
肩後方の柔軟性向上
肩のインナーマッスル強化
肩甲骨周囲の機能向上
それぞれでのストレッチやトレーニングを行なった後は、実際の投球動作に近づけた動きで正しい使い方を練習していきます。
治療経過
今回の症例は痛みのため投球できない状態もありましたが、肩甲骨周囲の浮き上がりがなくなり、現在は塁間を8割程度の力で投球可能まで回復しています。 更なる改善を目指し、引き続きリハビリテーションを継続しています。 この記事を書いたスタッフ
理学療法士
久保 大輝
久保 大輝
スポーツ選手やスポーツ愛好家の方など患者さんそれぞれのライフスタイルに合ったリハビリテーションを提供できるよう心掛けています。肩関節疾患や野球を専門としていますが、それら以外でもお困りのことがありましたらご相談ください。