第30回日本臨床スポーツ医学会 発表報告

2019/11/26
理学療法士
髙野 秀人

 2019年11月16日~17日に横浜で開催された第30回日本臨床スポーツ医学会で当院理学療法士の高野が「難治性足底腱膜炎に対する体外衝撃波治療の成績不良因子の検討」という演題でポスター発表してきました。


 足底腱膜とは踵から足の指へ広がる腱で、歩行やランニング時に土踏まず(アーチ)を支えるように機能しています。その部分に痛みが生じる足底腱膜炎とは足底腱膜に過剰なストレスが加わり、微細な損傷や炎症が発生した状態のことを言います。歩行時やスポーツ時に踵周囲の痛みを生じ、慢性定期な症状に移行(難治性)することも少なく有りません。

 従来の治療は患部に痛み止めの注射を行ったり、リハビリとしてストレッチや足趾機能の改善をしたり、インソール(中敷)を用いることが一般的でした。しかし、難治性足底腱膜炎に対し体外衝撃波治療が2012年に保険適応となり、以後治療として多く用いられるようになっています。当院でも体外衝撃波治療を導入していますが、その治療成績の不良因子に関しては未だ議論が分かれています。そこで今回、難治性足底腱膜炎に対する体外衝撃波治療の成績不良因子を検討しました。
 調査の結果、足底腱膜の腱の厚み(MRI画像で測定)が厚い人は薄い人に比べ、治療効果が得られにくいといった結果でした。このことから、症例数が少ないという課題点はありますが、足底腱膜の厚みは体外衝撃波治療の不良因子の一つである可能性があることがわかりました。今後症例数が増え、さらに成績不良因子を抽出することができれば、体外衝撃波治療の適応がより正確になり治療方針の選択を早めることができます。
 
 臨床スポーツ医学会は医師を始め、歯科医師、理学療法士、アスレチックトレーナー、栄養士などスポーツに携わる様々な分野のスペシャリストが集いました。
 様々な講演のなかで共通していたのは、スポーツ活動のバックアップとしては単一的なものでは不十分であり、多くの分野の連携が必須であるということでした。
 当院ではスポーツ選手やスポーツ愛好家の患者様も多く受診されているため、今回の学会で得た刺激を基に多角的な視点でスポーツ復帰やパフォーマンス向上に役立てるように日々努力してまいります。
長野整形外科クリニック 理学療法士 高野秀人
この記事を書いたスタッフ
理学療法士
髙野 秀人
花火の名所長岡から長野に移住して5年目!長野県の冬の日照時間の長さと山の美しさ(もちろんえびす講煙火大会も!)に魅了されています。私の治療方針は患者さんと二人三脚で進めるリハビリです。患者さんが目指すゴールに寄り添うこと、症状を十分に説明し、何故この治療が必要なのかを理解していただくことを大切にしています。また足関節を専門にしており、足関節の症例を多く担当させていただいております。陸上競技の経験からアジリティー(俊敏性)トレーニングを得意とし専門の資格も取得しました。速さにこだわりがある方、ぜひお声掛けください。 
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