症例紹介
年齢:15歳性別:男性
スポーツ:空手
主訴:運動時に左肩が抜けそう、不安感がある。
2018年10月8日 空手の試合中、左肩を後方から蹴られ脱臼しました。
10月9日 当院受診。レントゲン、MRI、他院でCT撮影を行い、左肩関節脱臼と診断。リハビリを開始しました。
2019年 6月6日 運動時の不安感が改善されないため手術決定。
10月8日 手術(鏡視下Bankart修復術)行いました。
画像検査
【レントゲン画像】上腕骨頭の陥没骨折を認めます。
【CT画像】
関節窩は正常
上腕骨頭後方に陥没骨折を認める
【MRI画像】
関節窩前方に関節唇(Bankart)損傷を認める。
◆Bankart(バンカート)損傷とは…
肩関節の脱臼時に、肩関節の安定化をさせる組織(関節包や関節唇、関節包靭帯複合体)の損傷、関節窩の骨折を含めてBankart損傷と呼びます。
一度損傷すると肩関節の安定性が大幅に低下し、再脱臼を引き起こします。
治療
鏡視下Bankart修復術
損傷した関節包や関節唇の修復を行います。関節鏡視下で手術を行うため、肩関節の前方・後方に約1cmの穴を開けます。
そこに小さなカメラを挿入し、受け皿である関節窩やその周囲にある関節唇の状態を観察します。
損傷した関節唇に対して、一度関節窩から関節唇を引き離す作業を行います。
その際に関節窩に対して溝を作成し、固定用にアンカーを埋め込み、そこから出る糸を利用して関節窩と関節唇を結び、補強する手術を関節鏡視下Bankart修復術と呼びます。
術後リハビリ
【術後~3週】装具固定【術後4週~】装具除去後から積極的なリハビリを行いました。
【術後4週~】装具除去後から積極的なリハビリを行いました。
【術後9週】~腱板筋力トレーニングを行いました。
【術後3ヶ月】体幹トレーニングや腕立て伏せなど体重を支えるトレーニングを行いました。
【術後4ヶ月】自重トレーニングをさらに強度を上げ、対人以外の空手を行いました。
徐々に対人練習を行い、術後8カ月で競技完全復帰しました。
Bankart(バンカート)損傷は、対人スポーツを行っている学生に多く、脱臼を繰り返してしまうケガです。脱臼を繰り返していると肩関節の抜け感や不安定感により生活でも支障をきたすことがあります。治療としては、原則リハビリを行いますが、肩関節の不安定感が残る場合、手術となります。手術により多くの患者様がスポーツ・仕事復帰をしているため良好な治療法です。手術後のリハビリも重要なため、今後もスポーツ復帰、職場復帰を目標に日々精進して参ります。