骨粗鬆症に対する薬物治療
薬物治療
薬物療法は大きくわけて- 内服
- 注射
内服
① 活性型ビタミンD3製剤
- エルデカルシトール(エディロール®)
- アルファカルシドール
★効果・効能★
腸管からのカルシウム吸収を促進し、腎臓でのカルシウム再吸収を促進します。
また骨吸収を抑制、さらに骨芽細胞に作用し、骨形成を促進します。
通常、ビタミンDが骨へ作用するには、
・皮下のプロビタミンD→紫外線により天然型ビタミンDへ変換
・食事や日光浴で得られたビタミンD→肝臓と腎臓で活性型へ変換
し骨へ作用します。
サプリメントや日光浴で天然型ビタミンDを多く取り入れても、効果が乏しいため、医療用活性型ビタミンD3製剤をお勧めします。
② ビスホスホネート製剤
- 連日(アクトネル®など)
- 週1(ボナロン®など)
- 月1製剤(リカルボン®など)
★ポイント★
骨強度を上げ、早急の骨折予防や休薬後も骨に沈着するため、作用が持続する事が長所です。
★注意点★
骨形成も抑制してしまうため、早急に骨密度の回復を目指し、リフレッシュ期間(休薬期間)を設ける必要があります。
③ 選択的エストロゲン受容体調整薬(SERM:サーム)
★効果・効能★骨選択性の高いエストロゲン受容体を介して骨吸収を抑制します。
エストロゲンは骨量の増加に関わっており、閉経後はエストロゲンが減少し骨量が低下していきます。
SERMを内服することにより、骨代謝に関わるエストロゲンのバランスを調整し、骨量を増加させる作用があります。
★ポイント★
女性にしか適応がありませんが、骨質改善に効果があるため軽症で、比較的若年患者へ使用しています。
注射
① ビスホスホネート製剤
- 月1(ボンビバ®)
- 年1製剤(リクラスト®)
抗RANKL抗体製剤
- 抗RANKL抗体製剤(プラリア®)
★注意点★
顎骨壊死のリスクとして、巷でも話題となり、歯科治療難民を引き起こした事があります。
最新の知見では、その見解も変わってきており、骨粗鬆症治療が必要となる人に対しては、定期的な歯科検診の必要性、顎骨壊死の病態・原因(虫歯由来の骨髄炎)、抜歯や歯科治療のタイミング(虫歯治療を待機的にせず優先的に治療する)などを説明・指導しています。
別項目にて、詳しくご説明します。
骨粗鬆症治療中の歯周病患者様及び歯科医療従事者様へ
② 副甲状腺ホルモン製剤
- 連日自己皮下注射型(フォルテオ®)
- 週1皮下注射型(テリボン®)
- 週2回自己皮下注射型(テリボン オートインジェクター®)
★効果・効能★
いずれも効果は大きく、特に新規椎体骨折(圧迫骨折)後の骨折治癒効果が上がると言われており、骨折発症時に使用されることが多い薬剤です。
またテリボン®は骨代謝亢進を正常化する作用があり、高回転骨代謝型(閉経女性で一番多いタイプ)に合った治療法です。
★ポイント★
早期閉経や偽閉経療法後の若年女性や、ステロイド性骨粗鬆症患者に使用しています。
③ 抗Sclerostin抗体製剤
- 骨形成促進剤(イベニティ®)
強力な骨形成作用と持続する骨吸収抑制作用のDouble Effect効果があり、今までの骨粗鬆症治療を凌駕する薬剤です。
しかし、心疾患や高血圧、糖尿病などの疾患を治療中の方には重篤な副作用報告もされています。
当院では、高度骨粗鬆症患者への必要性を考慮し、安全面に極力配慮して厳密な適応基準を設定し使用しています。
適応をしっかりと吟味して使用すれば、非常に効果のある治療選択となりえます。
(世界の臨床試験を吟味し、基礎疾患や内服薬、生活活動度を加味した心血管リスク因子を点数化し、高度骨粗鬆症診断基準と総合して判定しています)
まとめ
いずれの薬剤も長所、短所があり、当院では、ひとりひとりに合わせた薬物治療を提案します。
また画一的な治療ではなく、遂次療法やライフスタイルに合わせた治療変更も可能であり、他院で治療中の方でも、セカンドオピニオンとしてお話を聞くことは可能ですので、気軽に御相談ください。
骨粗鬆症外来担当医
当院では、骨粗鬆症の早期診断を行う事が出来ます。
その結果から、あなたに最も適した治療方法を提案致します。
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【外来担当日】 水・金曜日終日、第5週土曜日
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