仙腸関節性腰痛

公開日: 2020/05/15
更新日: 2020/07/19
理学療法士
保田 みはる

仙腸関節とは


骨盤は寛骨(腸骨・坐骨・恥骨で構成)、仙骨、尾骨で構成されます。
その中でも「仙腸関節」は腸骨と仙骨2つの骨の間にある関節です。
仙腸関節の周囲は強固な靱帯により安定していますが、わずかに動くと言われています。
 

仙腸関節の役割は?

仙腸関節は上半身、下半身からの衝撃を吸収し分散する役割があります。
 

症状

①    仰向けで寝ることが出来ない
②    痛いほうを下にして寝ることが出来ない
③    椅子に腰をかけるのがつらい、そのため、痛いほうのおしりを浮かしている
④    動き始めが痛い
などの症状があり、片側の殿部痛、鼠径部痛や下肢の痛み・痺れなどの症状が出現します。
一方で正座は楽なことが多いです。
仙腸関節性由来の痛みの約50%で殿部痛、鼠径部痛があり、この疾患の特徴は片側に出現することです。
中腰での作業、急な動作、同じ動作の繰り返しなどで、仙腸関節が緩んだり靭帯が伸びすぎることで衝撃吸収がうまくいかず関節の炎症がおきます。また、体幹や股関節周囲の筋力が落ち、仙腸関節や靱帯への負担が大きくなることで骨盤の不安定な状態が出現し痛みがでます。
仙腸関節由来の患者数は若齢者から高齢者まで幅広い年齢層で、1:2の男女比で見られます。
 

検査


仙腸関節性由来の腰痛はレントゲンやMRI、CTで異常所見がないことが多いため、症状や身体所見で診断します。
殿部痛の特徴として痛い場所を指1本で示すこと(one finger test)があげられます。(上図)
 

診断基準

腰椎椎間板ヘルニア 腰部脊柱管狭窄症 と似た症状が出現するのでその鑑別をした上で、
片側の腰殿部痛(one finger test)が認められ、
疼痛誘発テスト(Newton変法、Gaenslenテスト、Patrickテストの1つ以上が陽性)を行います。
仙腸関節由来の痛みが疑われれば、仙腸関節ブロック(痛み止め注射を打つ)を行い、
70%以上の疼痛が減る場合は仙腸関節性腰痛と診断します。


 仙腸関節性腰痛には大きく3つに分けられます。それぞれの型によって治療方法は異なります。



a.ニューテーション型(仙骨を起き上がり方向に誘導して痛みが軽減する)
b.カウンターニューテーション型(仙骨をうなずき方向に誘導にして痛みが軽減する)
c.不安定型(骨盤を左右から押さえることで痛みが軽減する)
 

治療

疼痛軽減を目的に仙腸関節ブロック、薬物療法、リハビリテーションを行っていきます。
リハビリテーションでは疼痛の軽減が図れる骨盤の位置に修正し、
それを保てるように骨盤周囲筋の筋力強化やストレッチを行い、原因動作の修正を行うことで、痛みの軽減、再発予防を図っていきます。
 

運動療法

アラインメント改善
           ○位置異常の評価
骨盤中間位といわれる標準的な指標として、上前腸骨棘と上後腸骨棘の位置を見ていきます。
10~15°が正常と言われており、それ以上の角度(2横指以上)では骨盤前傾位、それ以下の角度(2横指未満)では骨盤後傾位と言います。
骨盤前傾位とは仙骨がうなずき運動をしていくことを言い、仙腸関節が安定しやすい状態です。
骨盤後傾位とは仙骨が起き上がり運動をしていくことを言います。仙腸関節は不安定な状態です。
骨盤の位置によって治療方法は異なりますので、医師、理学療法士、柔道整復師が確認しながら治療をすすめていきます。
アライメントが改善されても、すぐに位置異常が起こることが多いので、
良好なアライメントの維持ができるように安定性の獲得が必須となり運動療法が有効です。
 
可動性改善
ハムストリングスや腸腰筋などのストレッチを行い、股関節可動域拡大を図ります。

骨盤周囲筋の筋力強化
腹横筋や大殿筋などの強化を行っていき安定化を図ります。
 
この記事を書いたスタッフ
理学療法士
保田 みはる
アレックス脊椎クリニックに勤務しております理学療法士の保田みはると申します。患者様一人ひとりに寄り添いながら、それぞれに合った理学療法を展開したいと考えています。また、産前産後や尿失禁についても勉強中で、一人でも多くの方が笑顔で生活できるようサポート出来ればと思い、これからも日々研鑚し、成長していきたいと考えております。宜しくお願い致します。
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