脊椎圧迫骨折とは
脊椎は24個の椎骨が積み重なって構成されています。
脊椎圧迫骨折(以下:圧迫骨折)とは背骨の椎骨がつぶれてしまう骨折のことで、次のような場合に発生します。
① 高所からの転落など
大きな外力が加わって起こる場合(外傷性)
② 加齢で骨が脆くなり、
軽微な外力で起こる場合(骨粗鬆症性)
③ 転移性骨腫瘍などが原因で起こる場合(病的)
これらの中で頻度が高い骨粗鬆症性の圧迫骨折についてご紹介します。
(吉原潔 腰博士より引用 https://koshihakase.com/%E8%85%B0%E6%A4%8E%E6%A4%8E%E4%BD%93%E9%AA%A8%E6%8A%98%E3%83%BB%E5%9C%A7%E8%BF%AB%E9%AA%A8%E6%8A%98/ )
骨粗鬆症性の圧迫骨折は年々増加しています。
軽く尻もちをついたり、くしゃみをしただけの軽微な外力で発生する場合や、いつ骨折したのかが分からない(いつの間にか骨折)ようなこともしばしば見受けられます。
閉経後は、女性ホルモンの分泌が低下する為、骨強度が低下し骨折のリスクが高くなってしまいます。
その他にも、食生活、運動不足、喫煙などもリスク要因としてあげられます。
骨粗鬆症とは
骨粗鬆症とは骨強度が低下し、骨折リスクが増大した状態で骨強度は骨密度と骨質の2つの要因からなります。
2つの要因のどちらかが低下していても骨強度は低下し、骨折リスクは増大します。その為、当院では骨密度と骨質の検査を行っています。
骨密度
当院では、骨密度を計測する検査機器として
DEXA法を導入しています。腰(腰椎)と股関節(大腿骨近位)の値を測定します。
軽微な外力で起こる骨折(脆弱性骨折)の有無で骨粗鬆症の診断基準が異なってきます。
脆弱性骨折がある場合:骨密度が若年成人平均値(YAM値)の
80%未満
脆弱性骨折がない場合:骨密度が若年成人平均値(YAM値)の
70%未満
骨質
当院では骨質を決定するものの1つである、骨代謝を採血から検査しています。
採血では骨を作り出す量(骨形成マーカー)と骨が溶け出す量(骨吸収マーカー)を調べることができます。
骨粗鬆症の診断
骨形成マーカー:低値
骨吸収マーカー:骨形成マーカーの量を大幅に上回っている
※骨密度と骨質の結果は、当院の医師におたずねください。
詳しくはこちらをご覧ください。
骨の仕組みと薬物による治療
2つの治療
治療は、
「圧迫骨折」と
「骨粗鬆症」に対して行っていく必要があります。
①圧迫骨折に対する治療
保存療法と手術療法があり、圧迫骨折は、まず原則保存療法を行います。
保存療法には装具(コルセット)療法やリハビリテーションがあります。
装具(コルセット)療法
新鮮の圧迫骨折では、骨折部の出血により血腫が生じることで骨癒合の可能性が陳旧性の圧迫骨折より高くなります。
その為、新鮮の圧迫骨折ではコルセットを着用し
患部を安静にすることで疼痛の緩和と骨癒合をはかります。
当院では、義肢装具士により患者様にあったコルセットを採型しております。
リハビリテーション
リハビリテーションで骨癒合をはかることはできませんが、圧迫骨折を起こしたことにより炎症が起こり、周囲の筋が過緊張を起こします。
リハビリテーションではその部分にアプローチを行い改善していきます。
また、
患部の負担を増やさない動き方を説明します。
手術療法
保存療法で改善しない場合や骨の一部が神経を圧迫することにより麻痺などの神経症状が出ている場合などに手術が選択されます。
骨粗鬆症性の圧迫骨折に対する手術の1つとして、経皮的椎体形成術(BKP:Balloon kyphoplasty)があります。
つぶれた骨の中にバルーンを留置し拡張することによって高さが回復し整復されます。そして同時に骨セメントを充填し固定する手術です。
※ 骨折の形態 によっては、 経皮的椎体形成術では対応できず 、金属スクリューを使った固定術が必要になる場合もあります。
(吉原潔 腰博士より引用
https://koshihakase.com/%E8%85%B0%E6%A4%8E%E6%A4%8E%E4%BD%93%E9%AA%A8%E6%8A%98%E3%83%BB%E5%9C%A7%E8%BF%AB%E9%AA%A8%E6%8A%98/ )
②骨粗鬆症に対する治療
骨粗鬆症の治療は主に薬物療法を行います。
まず、骨密度と骨代謝を検査し、その結果から「骨形成の促進」や「骨吸収の抑制」の作用がある内服や注射で治療を行います。
内服や注射には様々な種類があり、患者様に合わせた適切なものを選択します。
骨折を予防する為には骨粗鬆症の治療をしっかり行うことが重要です。
詳しくはこちらをご覧ください。
骨粗鬆症に対する治療
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