足部・足関節の痛み
足部・足関節外側の痛み
❶前距腓靭帯損傷
➢主症状:足前方の痛み 足首を伸ばした時の痛み 歩行・ランニング時の不安定感
➢病態:捻挫によって損傷する頻度が高い靱帯で、スポーツ活動中のジャンプ着地動作や方向転換の際に受傷しやすいです。
捻挫後に慢性足関節不安定症に移行し、足関節の不安定感が生じることが多く、日常生活やスポーツ復帰に支障をきたします。
➋外果骨折・腓骨骨端線損傷
➢主症状: 足前方の痛み 足首を伸ばした時の痛み
➢病態:重度の捻挫をした際に外果(外くるぶし)の骨折が併発します。小児では骨端線(成長を司る軟骨の層)を損傷するケースが多いです。
➌腓骨筋腱脱臼
➢主症状:外くるぶし後方の痛み 弾発感 脱臼感
➢病態:比較的稀な疾患ですが、足関節が固定された状態で捻挫することで受傷します。
慢性的に捻挫を繰り返している場合や、先天的に脱臼しやすい場合もあります。
足部・足関節内側の痛み
❶シンスプリント
➢主症状:歩行・ランニング時の痛み
➢病態:下腿内側に慢性的な痛みが生じます。
ランナーの発症頻度が高く20-50%程度発症するとされています。他にもバスケットボールやサッカーなどで生じることが多く、足を酷使するスポーツによくみられる疾患です。
➋足関節前方インピンジメント症候群(変形性足関節症)
➢主症状:しゃがみこみ時のつまり感・痛み
➢病態:繰り返しの外力によってできた骨棘(骨の棘)や捻挫の後遺症による軟部組織の損傷によって起きる疾患です。
➌足関節後方インピンジメント症候群(三角骨障害)
➢主症状:つま先立ち時のつまり感・痛み 足首を伸ばした時の痛み➢病態:サッカーのインステップキックやバレーのポワントポジションで足関節後方にストレスが加わることで炎症が起きます。足後方の余剰生成された骨(三角骨)や筋肉などの軟部組織に繰り返しストレスが加わることで起こります。
➍外脛骨障害
➢主症状:荷重時の痛み ランニング・歩行時の痛み ジャンプ動作での痛み➢病態:無症候性(痛みが起きない場合)がほとんどですが10-30%は症候性(痛みが起きる場合)です。捻挫や扁平足によって痛みが発症する場合が多いです。
➎外反母趾
➢主症状:歩行時の痛み➢病態: 母趾の先端が外側へ向く疾患で、母趾の機能低下が起きます。
女性に好発し、ハイヒールや靴の影響が大きいとされています。
足部・足関節後方の痛み


❶下腿肉離れ
➢主症状:ランニング・歩行時の痛み➢病態:急激な筋肉の伸張や予期せぬ運動などで起きます。筋肉と腱移行部で筋線維・筋膜の部分断裂、出血が生じています。下腿の肉離れはハムストリング(大腿後面)の肉離れに次いで2番目の発症頻度です。
➋アキレス腱損傷
➢主症状:歩行時・ランニング時の痛み ジャンプ着地時の痛み➢病態:ランニングやジャンプ動作によって、繰り返しアキレス腱に強い張力が加わることで生じます。アキレス腱の付着している踵の部分では退行性変化(加齢や繰り返しの疲労)によるものが影響します。
足裏の痛み


❶足底腱膜炎
➢主症状:起床時の痛み 歩行時の痛み 圧痛➢病態:足底腱膜(足裏の中央の熱い組織)の付着している踵に痛みを生じることが多い疾患です。足底腱膜が歩行などの際に牽引や荷重によるストレスで生じるとされており、長時間の立ち仕事や肥満、足首の硬さ、扁平足などが関係しています。
➋モートン病
➢主症状:荷重時の痛み・痺れ 歩行時の痛み・痺れ➢病態:歩行により足底側の趾神経が繰り返し擦れ、変性する疾患です。足の中指・人差し指で生じることが多く、20-50代の女性で好発します。歩行時に針を刺したような鋭い痛みが特徴的です。