シンスプリントの治し方

シンスプリントとは?



下腿内側に位置する脛骨(スネ)の下方1/3に痛みが発生することを特徴とするシンスプリントという病態は、痛みが脛骨に沿ってうずくような鈍痛から始まる事が多いです。

新しい環境で競技を始めたり、運動する環境が変わることで起きるスポーツ障害として、代表的なシンスプリントと呼ばれるもののほとんどは、脛骨過労性骨膜炎や脛骨内側ストレス症候群( Medial tibi al stress syndrome :MTSS)を指し、その歴史は古く、30年以上前からその病態の研究が行われています。
ランナー(ジョギングやマラソンetc)の発生頻度が高く、その20~50%に発生するといわれます。
好発年齢は12歳から16歳に最も多く、16歳をピークとして高校生や大学生に多いです。性差は男性に比べ女性の方がやや早期に発生する傾向があります。

オーバーユース症の1つであり、激しい運動をしている人がなりやすく、繰り返しのランニングやジャンプ、さらに急な発進と急ブレーキを繰り返すなど下肢を多く使うスポーツ(バスケットボール、サッカー、テニス、バレー、マラソン、ラグビー、剣道)などで起きやすいです。他に陸上やダンス、スキー、体操、バレエなど足を酷使するスポーツなども挙げられます。一度痛みが出ると競技や練習を休む必要があり、なかには数か月〜数年続くような治りにくい難治例も見受けられます。

痛みは脛骨(スネ)に沿ってうずくような鈍痛で始まります。ある一点に集中する痛み(この場合は疲労骨折の可能性も)とは違い、 筋肉が骨に付着するラインに沿って起こります。主な足関節底屈筋(下腿三頭筋、ヒラメ筋、後脛骨筋、長趾屈筋、長母趾屈筋)は、脛骨に付着しています。
それらの筋肉が付着している脛骨の表面は、骨を覆う膜(骨膜)があり、脛骨に付着している筋肉が骨膜を牽引する事で、骨膜の微細損傷(骨膜炎)をきたし、下腿内側の痛みを発生させると言われています。

初期段階であれば運動したときにだけ痛みを感じますが、上記のように進行するとスポーツをするのが難しくなるほどの痛みに発展することを忘れてはなりません。

また、よく似ている症状としては疲労骨折が挙げられます。実際、シンスプリントと疲労骨折の初期段階は大変似ているため、診断結果がシンスプリントから疲労骨折に変更されるケースもあることを覚えておきましょう。またこの2つの疾患は、治療法が異なるため両疾患の鑑別はスポーツ活動には重要な問題です。
しかし両疾患は鑑別が容易ではなく注意を要します。疲労骨折なのかは、MRIで専用の撮影する事で判断が可能です。
医師の診断で、疲労骨折と診断された場合には、完全安静を行わなければ治らないため、疲労骨折じゃないと判断をしてもらう事も、大変重要です。

そのため自身の判断でシンスプリントだと思い我慢すべきではありません。
痛みを感じる時間が増えてくるようであれば、速やかに医師の診断を受けることをオススメします。


*シンスプリントと疲労骨折、両者は結局同じもの、あるいは別なものであるとする意見があり、現在でも議論の分かれる疾患です。
*疲労骨折の診断となった場合:治療法はシンスプリントと同じではありません。

 

シンスプリントの原因

シンスプリントの原因は、オーバーユースと言われていますが、オーバーユースになる原因を考えていかなければなりません。
個々によって運動強度や耐えれる負荷量も違い、同じ練習をしていても症状が起きやすい人と起きにくい人がいます。
以下の要素を含んでいる場合は、より症状が出やすくなります。
 

身体的特徴

・下肢の形態異常(O脚、回内足、扁平足など)
下肢の形態異常があると、足部への負担が増大します。特に回内足や偏平足の場合、
足部のアーチ機能が低下する事で、衝撃を吸収する能力も低下します。その負担は、下腿の筋群へ負担がかかり筋疲労から柔軟性の低下や筋出力の低下が起きます。

 
・足関節底屈筋の柔軟性不足・筋力不足
足関節底屈筋(下腿三頭筋、ヒラメ筋、後脛骨筋、長趾屈筋、長母趾屈筋)は、脛骨の内側後面に付着しています。
それらの筋肉が付着している脛骨の表面は、骨を覆う膜(骨膜)があり、筋肉の柔軟性が低下する事は付着している周囲の骨膜をより牽引する事で、微細損傷(骨膜炎)をきたし、下腿内側の痛みを発生させると言われています。


 

オーバーユース

過度の運動量、運動時間、運動内容、日数またはフォームの変更、トラックなどの同一方向への周回etc

スポーツが走る蹴る飛ぶなど下半身も使うような競技では、練習で下半身を多く使います。その上、持久力を鍛えるための走り込みやフィジカルトレーニングで下半身を中心とした運動を繰り返し行なっていると、トータルの時間は短くても下肢の疲労はより溜まりやすくなり、オーバーユースになります。
これは、歩き方や走り方などのフォームによっても、一部にかかる負担が大きく変わります。

特に、シーズンの始めや新学期に新1年生など新入部員として入った際は、同じ時間同じ日数の練習だとしても、運動する環境が変わることは今までとは違う負担がかかりやすくなります。卒業などで一時的にでも新入部員として入るまでの間、練習期間が空いたりすると事は、休み期間と練習再開との間で振り幅が大きく急激な運動量増加に繋がり、悪い影響を及ぼします。

 

環境問題

地面環境(サーフェス)の違い(コンクリート、トラック、アスファルト、砂場、土、人工芝)

土や天然芝のグラウンドの地面は柔らかめなこともあり、負担が少ないですが、人工芝のグラウンドはコンクリートの上に人工芝が敷かれているため、地面が固く、その分プレーする選手の足腰への負担は大きくなります。特に、新しい環境で競技を始める際、地面環境が変わる事は多々あり、結果同じ練習量もしくは少なくてもシンスプリントなどのオーバーユースによるスポーツ障害が起きやすくなります。



 
靴の違い(薄く硬いシューズや踵部分の摩耗、足に合わない靴、クッション性のない靴)etc

また、靴の変化は下半身の負担(特に足裏)に大きく影響します。新しい環境での練習と同時に靴なども新しくする事は、今までと違う負担がかかりやすくなるので気をつける必要があります。
 
 

シンスプリントの症状



下腿内側に位置する脛骨の下方1/3に内側(足首の上辺り)に慢性的な疼痛と圧痛が発生することを特徴するシンスプリントです。
シンスプリントの痛みは運動の開始時から起こります(動き始め)が、運動を継続していると弱くなってきます。(運動していると痛みが軽減)
最初は、走ったり歩いたりしているときに、かかとが着地した直後にだけ痛みを感じます。さらに走り続けると、足がついている間ずっと痛むようになり、やがて常に痛みがある状態になります。しかし、安静にすると痛みがなくなります。
そのため通常、ADL(日常生活動作)では、あまり痛みを感じないことも、多いです。

その他
・ジャンプの着地や蹴る瞬間
・走り始め
・片足での動作
・ダッシュや切り返し動作
・下腿内側の鈍痛
・起床時(朝)の痛み


 

シンスプリントの診断・検査方法

レントゲン検査
シンスプリントではレントゲンで、明らかな異常を認める場合は少ないです。
疲労骨折の場合は、時間が経っていると骨膜反応(骨にダーメジがあった場合に、骨の周りに新しい骨を作ろうとする)という、疲労骨折の治癒過程で起きるレントゲン像が確認できます。


 
疼痛誘発検査
押して痛みがある場所を確認します。
痛みが出現する部位に特徴があり、脛骨遠位1/3内側に疼痛を認める事が多いです。
また、縦方向に5cm程度と比較的広い範囲に痛みを認めますが、
疲労骨折の場合、痛みの領域は局所的になりやすいです。



 
US(超音波検査)
超音波では、脛骨周囲の骨膜が腫れているかを確認する事が出来ます。
骨膜が腫れている場合、症状が経過によっては疲労骨折の可能性も考えられます。



 
MRI検査
レントゲン上で明らかな疲労骨折の所見が認めない場合でも、初期の疲労骨折の可能性は十分にあります。
その場合、シンスプリントか初期の疲労骨折かを区別するためには、
MRI検査(特にT2脂肪抑制という特殊な撮影条件)が必要です。

【下腿を正面から見た場合】

 


【下腿を側面から見た場合】

 


【下腿を上から輪切りにして見た場合】




 

シンスプリントの治療方法

 

保存療法 

シンスプリントは、スポーツ行なっている人に見られる症状です。
そのため、単に痛みを取り除くだけでなく、競技への復帰を前提に治療を行なっていきます。

シンスプリントは疲労骨折の初期症状とよく似ていることから、レントゲンや超音波画像診断、MRIといった方法で両者を区別するのが治療における最初の一歩です。
シンスプリントと判断した場合、まずは運動量を制限することから始めます。
強い痛みを感じている段階では、安静が基本です。炎症を抑制するためにアイシングや、炎症を抑える湿布や内服を必要に応じて使用します。

また同時にリハビリで、下肢のストレッチングや原因となった下肢の問題点を改善していきます。
痛みに応じて少しづつ運動を取り入れ、競技復帰までの道のりを歩んでいく事が大切です。
 
リハビリテーション
 急性期は、炎症を抑えるために電気療法や超音波治療などの物理療法も組み合わせながら実施します。
痛みが起きたきっかけがオーバーユース以外の可能性もあるため、負担になった原因を探り、再発しないようにリハビリを行います。
特に、下肢後面の硬さ(柔軟性低下)や、足指の機能不全、偏平足などの足部の形態異常などを評価し、その人に合ったアプローチを行います。必要に応じて、テーピングなどを行い患部の負担軽減を目指します。



足部だけの問題でなく、全身的な問題(姿勢不良、股関節の硬さ(柔軟性低下)、他部位を庇ってい歩行指定る場合)
全身的なコンディショニングを、自費の施設(都立大パーソナルコンディショニングセンター)で行うこともあります。
詳細→  パーソナルコンディショニングセンター

薬物療法
炎症がある場合は、非ステロイド性消炎鎮痛剤(NSAIDs=ロキソニンなど)や湿布をすることで炎症を抑え症状が改善します。ただし、飲み薬は長期間使用すると胃があれるなどの副作用が出る場合があるので、注意が必要です。

いわゆる痛み止めのお薬や痛いところに貼る湿布は、痛みを一時的に軽減させることはありますが、
原因が改善されてないと再発するリスクもあります。

 
 
装具療法(インソール) 
お子様から大人の方まで、その方に合わせた完全オーダーメイド(一人一人足形を取り、足の特徴や癖に合わせる)を作成します。
インソール使用よって、足底部のアーチ形態を機能的、解剖的に補正して足部のアライメントを改善します。
また、疼痛が強い場合は足底部の衝撃を減らすような、工夫も行います。



作成しただけでなく、インソールの状態を定期的にチェックし、問題がないか確認も行います。

また、シンスプリントに対するサポーターはありませんが、
必要に応じて、足関節からの影響が強い場合は、足関節に対してサポーターを行う場合があります。
 

シンスプリントの予防

下肢の柔軟性改善
柔軟性低下筋に対してマッサージ・ストレッチング、


【ふくらはぎ】
方法:①膝を伸ばした状態で床に座ります。  
②ふくらはぎの下にボールを入れ、反対側の脚を組むようにすねに乗せます。   
③膝の曲げ伸ばしを行いボールを転がしてほぐします。



【足裏】方法:①椅子に座り、足裏にボールを置きます。   
②膝を屈伸させ、ボールを転がして足裏をほぐします。



*やりすぎは痛みの原因にもなりますので、1回1分~2分程度を目安に行いましょう。


Short Foot Exercise 


【方法】①座位、立位で平らな床に足底を接地させる。
②つま先を伸展(反らし)ながら足底のアーチを挙上させます。
③足底のアーチを保持し、ゆっくりとつま先を床に接地させます。
【目的】母趾外転筋の機能向上
【ポイント】①保持時間を徐々に長くしていきます。(6秒〜1分程度)
②アーチ保持する際は足趾だけを低下させることがポイントです。アーチは低下しないように保持します。
③座位で行えるようになったら、立位→片脚立位の順に行います。

 
タオルギャザー


【方法】①タオルの上に足部を置きます。②足趾(足の指)を曲げ、タオルをたぐり寄せます。
【目的】長母趾屈筋の滑走性改善
【ポイント】大きく足趾(足の指)を動かすことがポイントです。

 

シンスプリントのテーピング


一般的なシンスプリントに対するテーピングは、
痛い部分を中心に圧迫するようなホワイトテープ(非伸縮テープ)を巻きます。
*あまりに強く圧迫しすぎないように注意してください。

原因に、下肢の形態異常(偏平足・回内足など)や足関節底屈筋の柔軟性不足・筋力不足などが影響するため、
個々の状態に応じて、上記に対するテーピングを追加して行きます。
 

シンスプリントとは?



下腿内側に位置する脛骨(スネ)の下方1/3に痛みが発生することを特徴とするシンスプリントという病態は、痛みが脛骨に沿ってうずくような鈍痛から始まる事が多いです。

新しい環境で競技を始めたり、運動する環境が変わることで起きるスポーツ障害として、代表的なシンスプリントと呼ばれるもののほとんどは、脛骨過労性骨膜炎や脛骨内側ストレス症候群
( Medial tibi al stress syndrome :MTSS)を指し、その歴史は古く、30年以上前からその病態の研究が行われています。

ランナー(ジョギングやマラソンetc)の発生頻度が高く、その20~50%に発生するといわれます。好発年齢は12歳から16歳に最も多く、16歳をピークとして高校生や大学生に多いです。性差は男性に比べ女性の方がやや早期に発生する傾向があります。

オーバーユース症の1つであり、激しい運動をしている人がなりやすく、繰り返しのランニングやジャンプ、さらに急な発進と急ブレーキを繰り返すなど下肢を多く使うスポーツ(バスケットボール、サッカー、テニス、バレー、マラソン、ラグビー)などで起きやすいです。他に陸上やダンス、スキー、体操、バレエなど足を酷使するスポーツなども挙げられます。一度痛みが出ると競技や練習を休む必要があり、なかには数か月〜数年続くような治りにくい難治例も見受けられます。


痛みは脛骨(スネ)に沿ってうずくような鈍痛で始まります。ある一点に集中する痛み(この場合は疲労骨折の可能性も)とは違い、 筋肉が骨に付着するラインに沿って起こります。主な足関節底屈筋(下腿三頭筋、ヒラメ筋、後脛骨筋、長趾屈筋、長母趾屈筋)は、脛骨に付着しています。
それらの筋肉が付着している脛骨の表面は、骨を覆う膜(骨膜)があり、脛骨に付着している筋肉が骨膜を牽引する事で、骨膜の微細損傷(骨膜炎)をきたし、下腿内側の痛みを発生させると言われています。

初期段階であれば運動したときにだけ痛みを感じますが、上記のように進行するとスポーツをするのが難しくなるほどの痛みに発展することを忘れてはなりません。

また、よく似ている症状としては疲労骨折が挙げられます。実際、シンスプリントと疲労骨折の初期段階は大変似ているため、診断結果がシンスプリントから疲労骨折に変更されるケースもあることを覚えておきましょう。またこの2つの疾患は、治療法が異なるため両疾患の鑑別はスポーツ活動には重要な問題です。

しかし両疾患は鑑別が容易ではなく注意を要します。疲労骨折なのかは、MRIを撮影する事で判断が可能です。医師の診断で、疲労骨折と診断された場合には、完全安静を行わなければ治らないため、疲労骨折じゃないと判断をしてもらう事は、大変重要です。

そのため自身の判断でシンスプリントだと思い我慢すべきではありません。
痛みを感じる時間が増えてくるようであれば、速やかに医師の診断を受けることをオススメします。


*シンスプリントと疲労骨折、両者は結局同じもの、あるいは別なものであるとする意見があり、現在でも議論の分かれる疾患です。
*疲労骨折の診断となった場合:治療法はシンスプリントと同じではありません。

 

シンスプリントの原因

シンスプリントの原因は、オーバーユースと言われていますが、オーバーユースになる原因を考えていかなければなりません。個々によって運動強度や耐えれる負荷量も違い、同じ練習をしていても症状が起きやすい人と起きにくい人がいます。
以下の要素を含んでいる場合は、より症状が出やすくなります。
 

身体的特徴

・下肢の形態異常
(O脚、回内足、扁平足など)
下肢の形態異常があると、足部への負担が増大します。特に回内足や偏平足の場合、
足部のアーチ機能が低下する事で、衝撃を吸収する能力も低下します。その負担は、下腿の筋群へ負担がかかり筋疲労から柔軟性の低下や筋出力の低下が起きます。

 
・足関節底屈筋の
柔軟性不足・筋力不足
足関節底屈筋(下腿三頭筋、ヒラメ筋、後脛骨筋、長趾屈筋、長母趾屈筋)は、脛骨の内側後面に付着しています。
それらの筋肉が付着している脛骨の表面は、骨を覆う膜(骨膜)があり、筋肉の柔軟性が低下する事は付着している周囲の骨膜をより牽引する事で、微細損傷(骨膜炎)をきたし、下腿内側の痛みを発生させると言われています。


 

オーバーユース

過度の運動量、運動時間、運動内容、日数またはフォームの変更、トラックなどの同一方向への周回etc

スポーツが走る蹴る飛ぶなど下半身も使うような競技では、練習で下半身を多く使います。その上、持久力を鍛えるための走り込みやフィジカルトレーニングで下半身を中心とした運動を繰り返し行なっていると、トータルの時間は短くても下肢の疲労はより溜まりやすくなり、オーバーユースになります。

特に、シーズンの始めや新学期に新1年生など新入部員として入った際は、同じ時間同じ日数の練習だとしても、運動する環境が変わることは今までとは違う負担がかかりやすくなります。卒業などで一時的にでも新入部員として入るまでの間、練習期間が空いたりすると事は、休み期間と練習再開との間で振り幅が大きく急激な運動量増加に繋がり、悪い影響を及ぼします。

 

環境問題

地面環境(サーフェス)の違い
(コンクリート、トラック、アスファルト、砂場、土、人工芝)

土や天然芝のグラウンドの地面は柔らかめなこともあり、負担が少ないですが、人工芝のグラウンドはコンクリートの上に人工芝が敷かれているため、地面が固く、その分プレーする選手の足腰への負担は大きくなります。特に、新しい環境で競技を始める際、地面環境が変わる事は多々あり、結果同じ練習量もしくは少なくてもシンスプリントなどのオーバーユースによるスポーツ障害が起きやすくなります。



 
靴の違い(薄く硬いシューズや踵部分の摩耗、足に合わない靴、クッション性のない靴)etc

また、靴の変化は下半身の負担に大きく影響します。新しい環境での練習と同時に靴なども新しくする事は、今までと違う負担がかかりやすくなるので気をつける必要があります。
 
 

シンスプリントの症状



下腿内側に位置する脛骨の下方1/3に内側に慢性的な疼痛と圧痛が発生することを特徴するシンスプリントです。
シンスプリントの痛みは運動の開始時から起こります(動き始め)が、運動を継続していると弱くなってきます。(運動していると痛みが軽減)
最初は、走ったり歩いたりしているときに、かかとが着地した直後にだけ痛みを感じます。さらに走り続けると、足がついている間ずっと痛むようになり、やがて常に痛みがある状態になります。しかし、安静にすると痛みがなくなります。
そのため通常、ADL(日常生活動作)では、あまり痛みを感じません。

その他
・ジャンプの着地や蹴る瞬間
・走り始め
・片足での動作
・ダッシュや切り返し動作
・下腿内側の鈍痛


 

シンスプリントの診断・検査方法

レントゲン検査
シンスプリントではレントゲンで、明らかな異常を認める場合は少ないです。
疲労骨折の場合は、時間が経っていると骨膜反応(骨にダーメジがあった場合に、骨の周りに新しい骨を作ろうとする)という、疲労骨折の治癒過程で起きるレントゲン像が確認できます。


 
疼痛誘発検査
押して痛みがある場所を確認します。
痛みが出現する部位に特徴があり、脛骨遠位1/3内側に疼痛を認める事が多いです。
また、縦方向に5cm程度と比較的広い範囲に痛みを認めますが、
疲労骨折の場合、痛みの領域は局所的になりやすいです。



 
US(超音波検査)
超音波では、脛骨周囲の骨膜が腫れているかを確認する事が出来ます。
骨膜が腫れている場合、症状が経過によっては疲労骨折の可能性も考えられます。



 
MRI検査
レントゲン上で明らかな疲労骨折の所見が認めない場合でも、初期の疲労骨折の可能性は十分にあります。
その場合、シンスプリントか初期の疲労骨折かを区別するためには、
MRI検査(特にT2脂肪抑制という特殊な撮影条件)が必要です。

【下腿を正面から見た場合】

 


【下腿を側面から見た場合】

 


【下腿を上から輪切りにして見た場合】




 

シンスプリントの治療方法

 

保存療法 

シンスプリントは、スポーツ行なっている人に見られる症状です。
そのため、単に痛みを取り除くだけでなく、競技への復帰を前提に治療を行なっていきます。

シンスプリントは疲労骨折の初期症状とよく似ていることから、レントゲンや超音波画像診断、MRIといった方法で両者を区別するのが治療における最初の一歩です。
シンスプリントと判断した場合、まずは運動量を制限することから始めます。
強い痛みを感じている段階では、安静が基本です。炎症を抑制するためにアイシングや、炎症を抑える湿布や内服を必要に応じて使用します。

また同時にリハビリで、下肢のストレッチングや原因となった下肢の問題点を改善していきます。
痛みに応じて少しづつ運動を取り入れ、競技復帰までの道のりを歩んでいく事が大切です。
 
リハビリテーション
 急性期は、炎症を抑えるために電気療法や超音波治療などの物理療法も組み合わせながら実施します。
痛みが起きたきっかけがオーバーユース以外の可能性もあるため、負担になった原因を探り、再発しないようにリハビリを行います。
特に、下肢後面の硬さ(柔軟性低下)や、足指の機能不全、偏平足などの足部の形態異常などを評価し、その人に合ったアプローチを行います。必要に応じて、テーピングなどを行い患部の負担軽減を目指します。



足部だけの問題でなく、全身的な問題(姿勢不良、股関節の硬さ(柔軟性低下)、他部位を庇ってい歩行指定る場合)
全身的なコンディショニングを、自費の施設(都立大パーソナルコンディショニングセンター)で行うこともあります。
詳細→  パーソナルコンディショニングセンター

薬物療法
炎症がある場合は、非ステロイド性消炎鎮痛剤(NSAIDs=ロキソニンなど)や湿布をすることで炎症を抑え症状が改善します。ただし、飲み薬は長期間使用すると胃があれるなどの副作用が出る場合があるので、注意が必要です。

 
 
装具療法(インソール) 
お子様から大人の方まで、その方に合わせた完全オーダーメイド(一人一人足形を取り、足の特徴や癖に合わせる)を作成します。
インソール使用よって、足底部のアーチ形態を機能的、解剖的に補正して足部のアライメントを改善します。
また、疼痛が強い場合は足底部の衝撃を減らすような、工夫も行います。



作成しただけでなく、インソールの状態を定期的にチェックし、問題がないか確認も行います。

 

シンスプリントの予防

下肢の柔軟性改善
柔軟性低下筋に対してマッサージ・ストレッチング、


【ふくらはぎ】
方法:①膝を伸ばした状態で床に座ります。  
②ふくらはぎの下にボールを入れ、反対側の脚を組むようにすねに乗せます。   
③膝の曲げ伸ばしを行いボールを転がしてほぐします。



【足裏】方法:①椅子に座り、足裏にボールを置きます。   
②膝を屈伸させ、ボールを転がして足裏をほぐします。



*やりすぎは痛みの原因にもなりますので、1回1分~2分程度を目安に行いましょう。


Short Foot Exercise 


【方法】①座位、立位で平らな床に足底を接地させる。
②つま先を伸展(反らし)ながら足底のアーチを挙上させます。
③足底のアーチを保持し、ゆっくりとつま先を床に接地させます。
【目的】母趾外転筋の機能向上
【ポイント】①保持時間を徐々に長くしていきます。(6秒〜1分程度)
②アーチ保持する際は足趾だけを低下させることがポイントです。アーチは低下しないように保持します。
③座位で行えるようになったら、立位→片脚立位の順に行います。

 
タオルギャザー


【方法】①タオルの上に足部を置きます。②足趾(足の指)を曲げ、タオルをたぐり寄せます。
【目的】長母趾屈筋の滑走性改善
【ポイント】大きく足趾(足の指)を動かすことがポイントです。

 

シンスプリントのテーピング


一般的なシンスプリントに対するテーピングは、
痛い部分を中心に圧迫するようなホワイトテープ(非伸縮テープ)を巻きます。
*あまりに強く圧迫しすぎないように注意してください。

原因に、下肢の形態異常(偏平足・回内足など)や足関節底屈筋の柔軟性不足・筋力不足などが影響するため、
個々の状態に応じて、上記に対するテーピングを追加して行きます。

 
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