ばね指の治し方

ばね指とは?

手の指には、指を曲げるための「屈筋腱(くっきんけん)」と腱の浮き上がりを抑え、力を有効に伝える滑車「靭帯性腱鞘(じんたいせいけんしょう)」という組織があります。屈筋腱が靭帯性腱鞘という滑車の中を移動することで、自由に指の曲げ伸ばしを行います。


日本手外科学会 手外科シリーズ 3.ばね指より図のみ引用

何らかの原因で、指の腱鞘に炎症(=腱鞘炎)が起きると、腱鞘が腫れて厚くなり、腱の一部にも炎症が起きて肥大化し、
腱鞘内を通過する際に、スムーズな動きが妨げられます。
この際に、腱と腱鞘が擦れて痛みを感じる事もあります。

指が曲がったまま伸びにくいという症状は、腱鞘というトンネルを腱が上手く通り抜けれてない状態です。
そのため、進行すると曲がった指を戻そうとして、無理に強い力をかけると、腱の引っかかりが外れて腱鞘を通過する瞬間、カクンと跳ねるように指が伸びます。
この動きが「ばね現象」です。
ばねのように跳ねて戻ることから「ばね指」と言われており、別名「弾発指(だんぱつし):snapping finger」とも言われます。

ばね指は、最初は軽症でも放置しているうちに少しずつ症状が進行してしまうので、早期の治療と正しいケアを行うことが大切です。
動かないまま放置していると、今度は関節が硬くなる「拘縮」が起こります。拘縮を起こすと、治療はより困難になるので、そうなる前に早めの治療を行うことが大切です。

ばね指の原因


日頃から手や指をよく使っている人は、腱や腱鞘に大きな負荷がかかっているため、炎症が起こりやすいです。
特に以下のような動作は、ばね指の発症の原因になりやすいと考えらます。

・パソコンのキーボードやマウスの操作
・ゴルフ、テニスなどの手を使うスポーツ
・ピアノなどの指を酷使する楽器の演奏
・ホルモンバランスの変化
・主婦の家事動作

ばね指は、男女問わず、誰でも発症するリスクがありますが、ホルモンバランスや家事動作で指を使うことが多い、女性に発症が多く見られます。

50歳前後の女性は、女性ホルモンの分泌により、腱や腱鞘の状態が弱く傷みやすくなる上、血行不良により腱鞘の内部が狭くなるので、ばね指発症のリスクは高まります。妊娠中や産後の女性は更年期と同様、妊娠中や出産後の女性もホルモンのバランスが乱れやすく、一時的に更年期と似たような状態に陥るため、ばね指になるリスクも高まります。

関節リウマチや糖尿病、人工透析患者
関節リウマチや糖尿病のような持病がある方は、末梢の血行が悪いため、ばね指を発症しやすくなります。さらに、一度炎症が起きると治りにくいので、重症化するケースも少なくありません。複数の指に発症する場合や(多発性)、一度改善しても再発するケースもあるため、基礎となる持病をしっかりと治すことも重要です。
 

ばね指の症状

ばね指は、どの指でも発症する可能性がありますが、特に、親指、中指、薬指に多く見られます。
朝の起床時に症状が強く、日中や夕方など、手を使っているうちに症状が改善するのが特徴です。

指が引っかかる症状が出ますが、指の付け根である【A1プーリー】という場所で引っかかりが起き、押すと痛みがあります。



・手のひら側の指の付け根に押した痛みや腫れ、熱を持った感じがある
・指の曲げ伸ばしが滑らかでなく、途中で引っかかりがある
・起床時、指がこわばり、動かしにくい
・指が曲がったまま戻らない
・曲がった指を無理に戻そうとして力を入れるとカクンと跳ねる(ばね現象)


初期のうちは軽い痛みや違和感だけで、安静にしていれば回復することが多いです。
しかし症状が進行するにつれ、次第に強い痛みやばね現象が現れるようになり、重症になると、指が全く動かなくなることもあります。
 

ばね指の診断・検査方法

レントゲン検査
ばね指は腱の炎症のため、レントゲン検査を行っても通常、骨には異常が見られることはありません。
しかし、手を酷使している人は、へバーデン結節やブシャール結節など指関節の変形など、他の疾患との鑑別や稀な腫瘍などを区別するためにも行う場合があります。
 
疼痛誘発検査
A1プーリー周辺の指の腫れや痛み、ばね現象の有無といった症状を確認

 
US(超音波検査)
超音波で、実際に引っかかりの部位を確認し、周囲の腫れや滑走が悪い場所・実際に引っかかっている像などを確認します。

 
MRI検査
ばね指の場合は、上記の検査で確認出来ることがほとんどですが、
症状を繰り返す場合は、腱損傷や他に原因がないか?などを含めて検査を行う場合があります。
 

ばね指の治療方法

 ばね指の治療は指の可動を良くし、痛みを抑える治療が基本となります。
治療には、大きく分けて症状を改善させるための「保存療法」とメスを用いて根治を目指す「手術療法」の二種類があります。
保存療法の場合、引っかかるようになった原因を根治しなければ、再発する可能性は十分にあります。繰り返す場合に、手術療法を選択する場合が多いです。
診断により、以下のような治療を単独または組み合わせて治療を行います。

 

保存療法 

リハビリテーション
 ストレッチや筋トレ、負担がかかった使い方などのリハビリテーションは、ステロイド注射のような即効性はありませんが、中・長期的に見るとリハビリによる治療が最も効果が高いという調査報告もあります。痛みが起きたきっかけが無い方は、右肘外側部への負担が原因の一つなので、負担がかからない様にリハビリを行います。
A1プーリー周囲が硬くなっている場合(滑走障害)、A1プーリーや屈筋腱に沿ってマッサージや滑走改善を行うように努めます。

 
薬物療法
炎症がある場合は、非ステロイド性消炎鎮痛剤(NSAIDs=ロキソニンなど)や湿布をすることで炎症を抑え症状が改善します。ただし、飲み薬は長期間使用すると胃があれるなどの副作用が出る場合があるので、注意が必要です。

 
 
注射
物が持てない、仕事に支障が出るほどの強い痛み・ばね指を繰り返している場合、ステロイド注射を行う場合があります。
肥厚している部分に直接ステロイド剤を注射する事で、腫れた組織が鎮静化し、そのまま1~2ヵ月程度は症状が改善することが多いですが、痛みが再燃する場合も少なくありません。
注射で一時的に症状を改善させるだけで、その間に根本原因をリハビリで並行して改善させ、トータル的な症状改善を目指します。
また、注射を繰り返し行うことは、組織を脆くさせ、長期的には症状を悪化させる場合もあります。


当院では、出来る限り少量で、ピンポイントで効果が出る様に、超音波ガイド下で1mm単位で調整して注射を行います。

 

手術療法

「腱鞘切開」手術ばね指の場合、最初から手術をすすめることはまずありません。
しかし、ステロイド注射を行っても、症状の改善に乏しい場合や再発を繰り返すような場合には手術も検討します。
手術は、痛みの元となっている腱鞘を切開し、その一部を切り離すことで、つらい症状を改善させることが可能です。
手術自体は、1㎝程度の切開で済み、所要時間も15分程度と短いため、日帰りで行うことが可能です。
術後一週間程度は、手を濡らさないように気を付ける必要があります。 

多くの場合は、腱鞘を切開することで再発する恐れはほとんど無くなります。
しかし、手術後安静にしすぎると、手術の影響で屈筋腱の滑走が悪くなり動きが悪くなることもあります。
そのため、リハビリを行って屈筋腱の滑走不全が起きらないように努めることも大切です。


日本手外科学会 手外科シリーズ 3.ばね指より図のみ引用

 

ばね指の予防

人差し指、中指・薬指・小指に対するA1 pulley ストレッチ
手関節軽度背屈位にて、
MP・PIP 関節90°程度屈曲、DIP関節伸展位で母指球と指腹でブロックなどを握らせ、屈筋腱を最大収縮させる

 
母指に対するA1 pulley ストレッチ
MP 関節最大屈曲位、IP関節伸展位で屈曲させた肢位を保持するように反対の手で抵抗をかける。

 
指のストレッチ
リラックスさせた肢位で手関節背屈位でMP・IP 関節を伸展させる。



 

ばね指とは?

手の指には、指を曲げるための「屈筋腱(くっきんけん)」と腱の浮き上がりを抑え、力を有効に伝える滑車「靭帯性腱鞘(じんたいせいけんしょう)」という組織があります。屈筋腱が靭帯性腱鞘という滑車の中を移動することで、自由に指の曲げ伸ばしを行います。


何らかの原因で、指の腱鞘に炎症(=腱鞘炎)が起きると、腱鞘が腫れて厚くなり、腱の一部にも炎症が起きて肥大化し、腱鞘内を通過する際に、スムーズな動きが妨げられます。
この際に、腱と腱鞘が擦れて痛みを感じる事もあります。

指が曲がったまま伸びにくいという症状は、腱鞘というトンネルを腱が上手く通り抜けれてない状態です。

そのため、進行すると曲がった指を戻そうとして、無理に強い力をかけると、腱の引っかかりが外れて腱鞘を通過する瞬間、カクンと跳ねるように指が伸びます。この動きが「ばね現象」です。

ばねのように跳ねて戻ることから「ばね指」と言われており、別名「弾発指(だんぱつし):snapping finger」とも言われます。

ばね指は、最初は軽症でも放置しているうちに少しずつ症状が進行してしまうので、早期の治療と正しいケアを行うことが大切です。

動かないまま放置していると、今度は関節が硬くなる「拘縮」が起こります。拘縮を起こすと、治療はより困難になるので、そうなる前に早めの治療を行うことが大切です。
 

ばね指の原因


日頃から手や指をよく使っている人は、腱や腱鞘に大きな負荷がかかっているため、炎症が起こりやすいです。

特に以下のような動作は、ばね指の発症の原因になりやすいと考えらます。
・パソコンのキーボードやマウスの操作
・ゴルフ、テニスなどの手を使うスポーツ
・ピアノなどの指を酷使する楽器の演奏
・ホルモンバランスの変化
・主婦の家事動作

ばね指は、男女問わず、誰でも発症するリスクがありますが、ホルモンバランスや家事動作で指を使うことが多い、女性に発症が多く見られます。

50歳前後の女性は、女性ホルモンの分泌により、腱や腱鞘の状態が弱く傷みやすくなる上、血行不良により腱鞘の内部が狭くなるので、ばね指発症のリスクは高まります。妊娠中や産後の女性は更年期と同様、妊娠中や出産後の女性もホルモンのバランスが乱れやすく、一時的に更年期と似たような状態に陥るため、ばね指になるリスクも高まります。

関節リウマチや糖尿病、人工透析患者
関節リウマチや糖尿病のような持病がある方は、末梢の血行が悪いため、ばね指を発症しやすくなります。さらに、一度炎症が起きると治りにくいので、重症化するケースも少なくありません。複数の指に発症する場合や(多発性)、一度改善しても再発するケースもあるため、基礎となる持病をしっかりと治すことも重要です。

 

ばね指の症状

ばね指は、どの指でも発症する可能性がありますが、特に、親指、中指、薬指に多く見られます。
朝の起床時に症状が強く、日中や夕方など、手を使っているうちに症状が改善するのが特徴です。

指が引っかかる症状が出ますが、指の付け根である【A1プーリー】という場所で引っかかりが起き、押すと痛みがあります。



・手のひら側の指の付け根に押した痛みや腫れ、熱を持った感じがある
・指の曲げ伸ばしが滑らかでなく、途中で引っかかりがある
・起床時、指がこわばり、動かしにくい
・指が曲がったまま戻らない
・曲がった指を無理に戻そうとして力を入れるとカクンと跳ねる(ばね現象)


初期のうちは軽い痛みや違和感だけで、安静にしていれば回復することが多いです。
しかし症状が進行するにつれ、次第に強い痛みやばね現象が現れるようになり、重症になると、指が全く動かなくなることもあります。
 

ばね指の診断・検査方法

レントゲン検査
ばね指は腱の炎症のため、レントゲン検査を行っても通常、骨には異常が見られることはありません。しかし、手を酷使している人は、へバーデン結節やブシャール結節など指関節の変形など、他の疾患との鑑別や稀な腫瘍などを区別するためにも行う場合があります。
 
疼痛誘発検査
A1プーリー周辺の指の腫れや痛み、ばね現象の有無といった症状を確認

 
US(超音波検査)
超音波で、実際に引っかかりの部位を確認し、周囲の腫れや滑走が悪い場所・実際に引っかかっている像などを確認します。

 
MRI検査
ばね指の場合は、上記の検査で確認出来ることがほとんどですが、症状を繰り返す場合は、腱損傷や他に原因がないか?などを含めて検査を行う場合があります。
 

ばね指の治療方法

 ばね指の治療は指の可動を良くし、痛みを抑える治療が基本となります。治療には、大きく分けて症状を改善させるための「保存療法」とメスを用いて根治を目指す「手術療法」の二種類があります。

保存療法の場合、引っかかるようになった原因を根治しなければ、再発する可能性は十分にあります。繰り返す場合に、手術療法を選択する場合が多いです。

診断により、以下のような治療を単独または組み合わせて治療を行います。

 

保存療法 

リハビリテーション
 ストレッチや筋トレ、負担がかかった使い方などのリハビリテーションは、ステロイド注射のような即効性はありませんが、中・長期的に見るとリハビリによる治療が最も効果が高いという調査報告もあります。痛みが起きたきっかけが無い方は、右肘外側部への負担が原因の一つなので、負担がかからない様にリハビリを行います。
薬物療法
炎症がある場合は、非ステロイド性消炎鎮痛剤(NSAIDs=ロキソニンなど)や湿布をすることで炎症を抑え症状が改善します。ただし、飲み薬は長期間使用すると胃があれるなどの副作用が出る場合があるので、注意が必要です。

 
 
注射
物が持てない、仕事に支障が出るほどの強い痛み・ばね指を繰り返している場合、ステロイド注射を行う場合があります。肥厚している部分に直接ステロイド剤を注射する事で、腫れた組織が鎮静化し、そのまま1~2ヵ月程度は症状が改善することが多いですが、痛みが再燃する場合も少なくありません。

注射で一時的に症状を改善させるだけで、その間に根本原因をリハビリで並行して改善させ、トータル的な症状改善を目指します。
また、注射を繰り返し行うことは、組織を脆くさせ、長期的には症状を悪化させる場合もあります。

当院では、出来る限り少量で、ピンポイントで効果が出る様に、超音波ガイド下で1mm単位で調整して注射を行います。

 

手術療法

「腱鞘切開」手術ばね指の場合、最初から手術をすすめることはまずありません。しかし、ステロイド注射を行っても、症状の改善に乏しい場合や再発を繰り返すような場合には手術も検討します。

手術は、痛みの元となっている腱鞘を切開し、その一部を切り離すことで、つらい症状を改善させることが可能です。手術自体は、1㎝程度の切開で済み、所要時間も15分程度と短いため、日帰りで行うことが可能です。術後一週間程度は、手を濡らさないように気を付ける必要があります。 





 

ばね指の予防

人差し指、中指・薬指・小指に対するA1 pulley ストレッチ
手関節軽度背屈位で、MP・PIP 関節90°程度屈曲、DIP関節伸展位で母指球と指腹でブロックなどを握らせ、屈筋腱を最大収縮させる


 
母指に対するA1 pulley ストレッチ
MP 関節最大屈曲位、IP関節伸展位で屈曲させた肢位を保持するように反対の手で抵抗をかける。


 
指のストレッチ
リラックスさせた肢位で手関節背屈位でMP・IP 関節を伸展させる。


 
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