腓腹筋損傷について
腓腹筋損傷(肉離れ)とは
【好発部位】
① 腓腹筋筋腱移行部(内側)② ヒラメ筋筋腱移行部(内側)
① ②
【発生率】
腓腹筋損傷(肉離れ)が多く生じるスポーツはサッカー,陸上競技といったスプリンターに多い.世界陸上大会やヨーロッパ男子プロサッカーリーグなどでの腓腹筋肉離れの発生率は0~7.3%と一定した結果が報告されている.
【受傷機転】
好発部位である腓腹筋内側頭はストップ動作などで受傷しやすく膝関節伸展位で足関節背屈する際に大きな負担がかかり受傷する.【主な症状】
受傷直後の損傷部位は腫れ・皮下出血が生じる.症状は主に伸長時痛や圧痛,収縮時痛が生じ,荷重困難・歩行困難になるケースもある.受傷2〜3週後には徐々に症状は軽快し日常生活は困難なく可能となる.重症度によってはMRI撮影することもある.
【リハビリ内容】
受傷直後:アイシング(冷却),圧迫,挙上,安静(RICE処置)受傷2~3週:ストレッチ,マッサージ,トレーニング(疼痛に応じ行う)
受傷4週~:強度をあげたトレーニング(スクワット,ジャンプetc)
【予防】
筋力や筋肉の治癒が不完全な状態でスポーツ復帰すると再発するリスクが高くなる.そのため医師の指示に従い全身の柔軟性の改善,十分な筋力強化,姿勢改善を行うことが再発予防に繋がる.
【症例紹介】
20歳 男性 大学生 スポーツ:陸上(100m)診断名:腓腹筋損傷
【症状経過】
スプリントの練習中に加速してから減速する際に右ふくらはぎに違和感を生じていた.違和感程度だったため練習は継続していた.再度スプリントの練習中に減速する際に右ふくらはぎ(同部位)にブチっと音が鳴り受傷した.
歩行時にも疼痛が出現し練習を休むことにした.翌日当院受診し腓腹筋損傷と診断され,同日リハビリ開始した.
初期症状は,腓腹筋に皮下出血,腫れが認められ,歩行時痛も認めたため松葉杖を処方した.
それらに対し,弾性包帯による圧迫・超音波治療(非温熱モード)・松葉杖歩行練習を実施した.
受診より1週経過し歩行時痛は軽減したため松葉杖は使用せず独歩練習開始した.
その後症状軽快したため損傷部位のストレッチ・マッサージを実施し,疼痛に合わせ非荷重でのトレーニングを開始した.
受傷4週経過してから損傷部位の疼痛は消失したため,荷重トレーニング→ジャンプトレーニングを開始し,
当院のジョギングメニューを実施し,部分的に練習へ参加し競技復帰した.