拘縮肩(硬くて肩が動かない)非観血的関節授動術について
拘縮肩(硬くて肩が動かない)に対する非観血的肩関節授動術について
~肩関節の構造~
肩関節は筋肉と関節包という組織に覆われており、この関節包は関節を安定させる役割を持つと言われています。拘縮肩(硬さにより肩の動きが制限される病態)では炎症や痛みにより肩の運動が制限され、筋肉が硬くなります。この肩関節の動きが長期的に制限されると関節包が硬くなり、肩の運動がより著明に制限されてしまいます。硬くなった筋肉にはストレッチや対象の筋肉を動かすなどのリハビリで改善が期待できます。しかし硬くなってしまった関節包に対してはリハビリのみだと治療が長期化するケースも少なくありません。そこで硬くなってしまった関節包に対しての治療として【非観血的肩関節授動術】を紹介します。
~非観血的肩関節授動術とは~
神経ブロック注射を行うことで肩周りを担当する神経や筋肉を緩め、硬くなった関節包を剥がして痛みや肩の運動の制限を改善させる治療法です。神経ブロック注射を行うため痛みが少なく、入院の必要がないので即日ご帰宅いただけます。~適応~
・肩の関節包が硬くなってしまった方
例:腰に手をあてられない、肩と同じ高さまで腕が上がらない など
※画像は当院スタッフがモデルで撮影しています。
※まずはご受診いただき担当医・リハビリスタッフが肩の状態を確認。肩周りの機能を総合的に評価した結果、適応と判断したのちに非観血的肩関節授動術のご予約をお取りします。
~当日の流れ~
1:都立大ペインクリニックで麻酔
当院では近隣の都立大ペインクリニック(当院から徒歩4分)で局所麻酔を注射し、三角巾で固定した状態で当院にご来院いただきます。
※麻酔の副反応
ホルネル症候群…瞳孔が過度に縮小する、瞼が下がる、顔面の汗がかきづらい、顔が赤くなるなど
横隔神経麻痺…呼吸が浅くなり息がしづらくなる→壁にもたれて座り安静にすることで呼吸が安定します。
これらの副反応は一過性で麻酔効果が切れることで改善します。
2:都立大整形外科クリニック(当院)受診
当院受診後、担当スタッフがベッドまでご案内致します。
ベッドで寝た状態で血圧測定と麻酔の効果を確認し、問題がなければ担当医が来るまで5~10分お待ちいただきます。
※麻酔の効果が乏しい場合はスタッフにお伝えください。麻酔の効果…上肢の感覚低下、腕を動かせない、肘の曲げ伸ばしができない。
3:非観血的肩関節授動術
担当医が来たら、もう一度体調と麻酔効果の確認を行います。問題がなければ非観血的関節授動術を行います。肩を様々の方向に動かして関節包を剥がしていきます。
4:関節内注射
非観血的肩関節授動術後は一過性に炎症が起きるため炎症止めの注射を実施します。
5:帰宅
帰宅後、麻酔の効果がなくなり次第三角巾を外していただけます。
※当日は車の運転ができないため、公共交通機関をご利用の上ご来院ください。
6:翌日からリハビリ開始
非観血的肩関節授動術により関節包の硬さは改善できます。しかし麻酔が切れると筋肉の硬さが元に戻るため、術後も早期からのリハビリがとても重要です!
※非観血的肩関節授動術の合併症として、局所麻酔中毒・脱臼・神経損傷・骨折などがごく稀ではありますが報告されています。合併症など不明な点がございましたら、お気軽に担当医・スタッフまでご相談ください。