膝前十字靭帯(ACL)損傷とは

<経過例>
21歳 女性 大学生
 
<症状経過>
バスケットボールの練習中、リバウンドを取るためにジャンプし、着地時に膝が内側に入りそのまま崩れるように受傷した。
安静時および歩行時痛ともに強く、一人で歩くことは困難であったため、友人の肩を借りて歩き、車で当院に受診。
膝の靱帯損傷が疑われ、詳しく検査するためにMRI検査を実施し、膝前十字靭帯損傷と診断。
スポーツ復帰希望であったため、痛みや腫れが落ち着き、可動域および筋力が改善した後で手術を行うことになった。
 
診断名:膝前十字靱帯(Anterior cruciate ligament;ACL)損傷      
 

<主な症状>

『膝の中が痛い』『膝がガクッとなる』『膝が抜けそうで怖い』などスポーツ動作中の訴えが多い
 

<よくある症状>

受傷直後は膝の痛みと、腫れ、熱感、可動域制限がみられる。
徐々に痛み、腫れ、可動域制限は軽快し日常生活では支障がなくなってくるが、運動時に上記のような膝の不安定感(膝崩れ)を感じることが多い。
日常生活では大きな支障がなくなることも多いが、膝前十字靭帯は一度損傷すると、自然に治ることが無く不安定感が残存したままになる。
そのまま放置することは、新たに半月板損傷や軟骨損傷が生じ、慢性的な痛みや腫れにつながることが多い。
 

<多く起きるスポーツ>

バスケットボール,サッカー,ハンドボール,ラグビー,アメリカンフットボール,ラクロス,スキー,体操等で発生率が高い。
 

<主なリハビリの流れ>

受傷直後は、痛み、腫れ、熱感に対して患部の冷却、圧迫、挙上を行う。痛みが強い場合は、歩く際に松葉杖を使用し、患部の安静を保つ。
同時に、関節可動域を広げるためにマッサージやリラクセーションを行う。患部以外は、筋力低下を防ぐために早期からトレーニングを行う。
患部も、痛みの自制内で体重のかからないトレーニングから始める。

痛み、腫れ、可動域制限の改善とともに、治療方針を決める。
原則的には、アスリートでスポーツ活動を継続する場合は、手術が必要となる。
レクリエーションレベルであれば、手術をせずに膝周囲のトレーニングやサポーターの使用による保存療法も可能である。
しかし、膝の不安定感が残ったり、将来的に半月板や軟骨が損傷したりする可能性が高いため、若年者では手術が望ましい。
手術をする場合でも、保存で様子を見る場合でも、膝の可動域を広げることと筋力の強化が重要である。
 

<予防>

この怪我は、受傷機転によって誰かとの接触により生じたもの「接触型」と、
方向転換やジャンプ着地を上手く行えずに生じたもの「非接触型」の2パターンに分けられる。
接触によるものはスポーツをしている以上、避けられない場合があるが、非接触によるものは防ぐことができる場合が多い。
その原因としては方向転換時やジャンプ着地時に膝が内側に入る(Knee in)に代表される膝への過度な負担である。
予防のためには、いかに膝への負担を減らすかが重要であり、膝以外の部位を上手く使い、負担を分散させることが求められる。
具体的には、足関節の柔軟性、股関節の柔軟性と安定性、体幹の安定性を高めることである。
 
 
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