野球肘に対する PULSE THROW の活用
野球肘とは
1.野球肘かも!?現在こんな症状があって困っている、、、・肘の痛み
・ボールを投げるときに肘が痛くなる
・練習後に肘が痛くなる
・肘の内側や外側、後ろが痛くなる
・肘が腫れている
・肘の動きが悪い
・肘がぐらぐらする
・肘の中で音がする
・ボールを投げると肘の内側から小指、くすり指にかけて痺れる
・握力が落ちる
★野球肘とは
野球など投げる動作を多くするスポーツのやりすぎで肘に負担がかかりすぎることが原因で発症します。典型的な症状として上記の訴えがよくみられます。野球肘には、内側に起こる内側型野球肘と外側に起こる外側型野球肘があります。肘の外側では骨同士が衝突し、骨・軟骨が剥がれたり痛んだりします。また、内側では靭帯・腱・軟骨が痛みます。
これらのような症状がみられた場合は、放っておくのではなくすぐに医療機関へ受診し、医師の適切な診断のもと、リハビリを行っていくことが早期復帰への近道になります!!!
当院には野球経験者も多く、より専門的な動作分析や競技復帰までのサポートを行っています。
当院での実際のリハビリと競技復帰までの流れ
1.当院へ受診
医師が受傷歴から身体の状態について超音波エコーやレントゲン画像などを用いて検査します。
これらの検査をもとに医師に野球肘(内側側副靭帯損傷や離断性骨軟骨炎など)と診断されるとリハビリ開始になります。
2.リハビリ開始!
まずは選手の身体の状態(筋力や柔軟性など)を理学療法士がチェックします。
野球肘の競技復帰には大きく分けて3つの段階があり、適切な時期に適切なリハビリを行っていく必要があります。
2-1.回復期
患部の機能回復を図る時期のことを言います。
一般的にこの時期は投球動作の休止が原則と言われています。
投球休止後2週間以上経過した時点でテニスボール投げなど軽い投球を始めていきます。
また、タオルを使ったシャドウピッチングを50%の強さからではじめ、徐々に強度を上げていき、100%で行っても痛みが出なかった場合に次の調整期へと進み投球を開始します。
この際にPULSE THROWを用いて痛みが出なかった時の肘の角度やかかっているストレスなどを選手の主観的な強度(50%→70~80%→100%)ごとに測定します。
メニュー:テニスボールを使ったウィンドミル投げ(下投げ)、シャドウピッチング
2-2.調整期
投球を再開し投球強度を徐々に上げていく時期のことを言います。
身体機能に応じた投球方法で動きの学習を行います。
ネット投げは5mで50%の強さからはじめていきます。
強さは50%→70~80%→100%へとステップアップし距離は10球ごとに1mずつ伸ばしていき、10mを100%の強さで投球し痛みが出なかったら最後の強化期へと進み塁間の半分の距離でのキャッチボールを始めます。
また、このステップアップの過程では最低2日間同じ負荷で投球を行い次のレベルへ移行するのが安全であるといわれています。そのためこの時期では次の日の肘の反応(痛み)を確認しながら、強度を上げるのか下げるのかPULSE THROWを用いて判断していきます。
メニュー:PULSE THROWを使用したネット投げ、合計50~80球
2-3.強化期
競技復帰に向けて投球強度と球数を上昇させていく時期で、ピッチングなどの練習で投球スキルの学習を行っていきます。
この時期からキャッチボールをはじめ最初は塁間の半分の距離で50%から初め、100%を3日間投球し痛みが出なかったら塁間へと距離を伸ばし段階的に負荷を上げていきます。
最終的には投手の場合、塁間の対角線の距離+15mを100%で投球可能になったらブルペンでの投球を開始します。
野手の場合対角線の距離を100%で投球可能になったら実践練習の開始になります。
メニュー:PULSE THROWを使用したキャッチボール合計100球以上
野球肘の競技復帰の過程では徐々に強度を上げていくことが重要であり、その際にPULSE THROWを用いることで〇%の強度というのを数値化することができ本人の感覚ではなく客観的なデータとして把握することができます。そのため選手にとってより安全で正確な競技復帰の過程を踏むことができます。
このように当院では野球肘の選手に対してPULSE THROWを活用してより早く、安全に選手の競技復帰をサポートしていきます。
PULSE THROWとはなにか?
野球選手の投球動作における肘への負荷量、日々のトレーニングの疲労度を数値化することで、パフォーマンスアップと肘コンディショニング管理が可能となるギアです。
PULSE THROWで出来ること
▼投球動作分析PULSEが一球毎に計測するデータ
1,エルボートルク(肘外反ストレス)
「エルボートルク」とは投球時に肘の内側にかかるストレスのことです。選手の身長や体重などのデータから、エルボートルクの最適領域を算出します。
最適領域を超えている場合は、肘に負荷のかかりやすい投球フォームだと考察できます。
2.アームスロット(リリース時の肘の角度)
「アームスロット」とはリリース時の地面に対する肘の角度です。
この数値のポイントは選手が一貫して同じリリースポイントから投球できているのかどうかを確認することです。
回転数や球速が良かった時のアームスロットの数値がどうだったのか?など確認しながら選手にとって一番良いアームスロットを見つけるサポートが出来ます。
3,アームスピード(腕振りの速度)
「アームスピード」とは腕の振りの速さです。
一般的に、アームスピードを上げれば球速も比例して上がると言われていますが、それぞれに対する目標値=アームスピードの数値が〇〇になったら、〇kmですということはありません。選手それぞれ体格(腕の長さ)が異なるので目指す数値が変わってくるからです。
他選手のデータとの比較ではなく、同選手のデータの変化を見ながらパフォーマンスの向上のヒントとします。
▼肘コンディショニング管理
1.今日どれくらい投げれば良いかわかる
今まで肘にどれくらいの負荷が蓄積されているのか感覚に頼っていた部分を、「ワークロード」という形で可視化します。PULSEでは下記データを基に、1日にどれくらいワークロードが蓄積されたのか?で「1dayワークロード」を算出します。球数ではなく実際の負荷を基に肘のコンディションを確認することができます。
2.スケジュール設定
それぞれのフェーズに合わせてスケジュール設定をすることにより、スケジュールに合わせて「推奨1dayワークロード」が、構築されていきます。設定することで、試合日に合わせて日々のワークロードを調整してくれます。
3.高負荷投球数(ハイエフォートスロー)
高負荷投球とは、過去2週間で最もストレスの高かった5球のエルボートルク値の70%を超えた投球数です。合計投球数の中に、負荷の高かった投球が何球あったのかを確認することができる機能です。
実際の使用方法
このように肘にPULSE THROWを装着した状態で実際に投球動作を行ってもらい計測します。