前十字靭帯(Anterior Cruciate Ligament)とは?
『前十字靱帯』とは膝関節を安定化させるために必要な主要4つの靭帯のうち最も重要であるといわれている靭帯の名前です。
この靭帯はおもに膝の捻りと前後方向のぐらつきを抑えています。
前十字靭帯損傷の原因とは?
ジャンプの着地などで急に膝を激しく捻ってしまったり、転倒などで過度に膝が伸ばされてしまったとき靭帯の持つ強度を越えてしまうことにより切れてしまいます。膝のスポーツ外傷の中で特に注意しなければいけないケガです。一度切れてしまった靭帯は再びつながることは難しく、治癒しないままスポーツを続けると、膝の老化(変形性関節症)が早まるといわれています。
前十字靭帯損傷の症状は?
・膝の不安定感・スポーツ中に膝がぐらぐらする
・階段の下りで膝が外れる感じがする
・ジャンプの着地で膝が外れる感じがする
・膝に力が入らない
・膝がすぐ腫れてしまう
・膝が伸びきらない
・正座ができない
膝を使う動作、特にスポーツ競技中などの様々な動作で症状が出ます。
画像検査・診断について
靭帯損傷でジャンプ着地時や急な方向転換時などに膝にストレスがかかって受傷する非接触型の損傷がほとんどです。
医師による徒手検査や、単純レントゲン検査で骨折の有無を確認、
MRI検査が靭帯の評価(靭帯の形状、靭帯走行、骨傷など)に有用です。
例)
MRI画像①
大腿骨内顆・外顆に骨挫傷
②
脛骨後顆に骨挫傷
③
前十字靭帯が不明瞭
前十字靭帯損傷の治療について
保存療法 と
手術療法 の2つがあります。
保存療法 では、リハビリを中心とし膝関節周囲の筋力強化を行いながら、必要に応じて装具を装着し、日常生活動作の獲得とスポーツ活動への復帰を目指します。しかしこの場合、膝崩れを繰り返すことにより半月板や関節軟骨への損傷が2次的に起こるリスクが高くなります。以前ではACL損傷はスポーツ選手の間で手術療法が重要であると言われてきました。損傷後スポーツをやめれば問題なしとされていましたが、近年では膝の老化(変形性変化)の進行が早まり、人工関節置換術に至る確率が高くなるとの統計結果が出たことから
若年者であっても基本的に手術を勧めています。
手術療法 では、縫合しても血行不良から再損傷のリスクが高いため、再建術を選択します。再建術に使用するものとして2種類あり骨付膝蓋腱(BTB)か半腱様筋腱、薄筋腱(STG)を使います。それぞれ長所、短所があるため医師と相談の上、スポーツの競技特性や社会復帰等の状況に応じて術式を選択します。
復帰までの治療期間は
術後1ヶ月で日常生活を送れるようにし、術後3ヶ月からJogを開始し、術後6ヶ月でスポーツ復帰を目指しますが、コンタクトスポーツや激しい動きのスポーツ復帰までは7−9ヶ月かけてレベルアップすることが多いです。
競技復帰の目安としては、以下が挙げられます。
・正常な関節可動域と靭帯の安定性が獲得
・大腿筋力(ハムストリングス、大腿四頭筋)の回復
・危険肢位(Knee-in等)にならないような十分なスキル、フォームの獲得
・実際のスポーツ活動で不安感がない状態
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