肩の痛み、あなたは五十肩?

2025/02/22
#肩関節
医師
中島 駿

40~60歳の方で「肩の痛み」に悩んでいる方は多くいらっしゃいます。

  • 「急に肩が痛み出し、様子を見ていたらどんどん肩が上がらなくなった」
  • 「最初は気になる程度だったのに、今は夜も眠れないほど痛い」
  • 「洗濯物を干す、お皿を片付けるなど、腕に力が入らない」

このような症状がある場合、五十肩(肩関節周囲炎)の可能性があります。しかし、肩の痛みの原因はさまざまです。

肩の痛み、ほんとうに五十肩?

中高年で肩の痛みを訴えて受診した患者さんの内訳は以下の通りです。
  • 五十肩(肩関節周囲炎):60~70%
  • 腱板断裂:20~30%
  • 石灰性腱炎:約10%

つまり、「肩の痛み=五十肩」とは限りません。それぞれ治療法が異なるため、正確な診断が重要です。

適切な診断の重要性

「レントゲンでは問題なし、五十肩なので痛み止めと湿布で様子を見ましょう」と言われたものの、なかなか改善しないというケースも多々あります。肩の疾患の多くはレントゲンだけでは診断できません

診断には以下の検査が役立ちます。

  • 超音波(エコー)検査
  • MRI検査(必要に応じて)

これらを組み合わせて正確な診断を行うことで、適切な治療につながります。

五十肩とは?

五十肩(肩関節周囲炎)は、明らかな原因なしに肩の痛みと可動域の制限が起こる疾患です。40~60歳代に多く見られます。

肩関節の構造と五十肩の原因

肩関節は「けん玉」に例えられるように、大きな上腕骨頭(ボール)を小さな受け皿(関節窩)が支える構造になっており、不安定な関節です。そのため、関節包や腱板(インナーマッスル)などの軟部組織が安定性を保っています。五十肩は、これらの軟部組織に炎症や損傷が生じることで発症し、痛みや可動域の制限が起こると考えられています。

五十肩(肩関節周囲炎)の3つの病期と治療のポイント

五十肩は進行に応じて「炎症期」「拘縮期」「寛解期」の3つの病期をたどります。各段階に適した治療を行うことで、痛みの軽減や早期回復が期待できます。

炎症期(急性期):強い痛みが続く時期

期間:発症から数週間~数ヶ月
主な症状
突然の肩の痛みで発症し、夜間痛(寝ている間の痛み)が顕著
動かさなくても痛みがあり、服の着脱や洗顔などの日常動作が困難
肩関節周囲に炎症・腫れ・熱感を伴うことがある
少し動かすだけで激痛が走り、肩を動かすのが怖くなる
治療とケア
過度な動作を避け、安静を保つ
アイシングや鎮痛薬(NSAIDs)の使用で痛みをコントロール
ヒアルロン酸やステロイド注射を検討
完全に動かさないと肩が固まるため、痛みの範囲内で軽いストレッチを行う
この時期は、無理に動かすと悪化するため、痛みのコントロールを最優先します。

拘縮期(慢性期):肩が硬くなる時期

期間:数ヶ月~1年
主な症状
痛みは軽減するが、肩の可動域が著しく制限される
腕を上げる・後ろに回す動作が困難(エプロンを結ぶ、背中をかくなど)
無理に動かそうとすると強い抵抗感があり、動かせる範囲が限られる
放置すると関節が固まり、回復に時間がかかる
治療とケア
関節可動域訓練(ROMエクササイズ)を少しずつ行い、拘縮を防ぐ
必要に応じてハイドロリリース注射を実施
適度なストレッチを継続し、徐々に動きを取り戻す
この時期に肩を動かさないと、拘縮が進み回復が遅れるため、痛みを感じすぎない範囲で動かすことが重要です。

寛解期(回復期):肩の動きが戻る時期

期間:半年~2年(個人差あり)
主な症状
痛みがほぼ消失し、少しずつ肩の可動域が回復
以前のように腕を動かせるようになるが、違和感や軽度の制限が残ることもある
放置すると可動域が完全には戻らない場合がある
治療とケア
筋力トレーニング(インナーマッスル強化)
ストレッチを継続し、肩の柔軟性を保つ
日常動作で積極的に肩を動かす(ラジオ体操、ウォーキング時の腕振りなど)

まとめ

五十肩は、時間の経過とともに症状が変化する疾患です。自然に治ることもありますが、適切な治療やリハビリを行うことで、痛みの軽減や早期回復が期待できます。
肩の痛みで困ったら、肩専門医を受診してください。
こんな場合は早めに受診を
じっとしていても強い痛みがある
夜間痛が続き、眠れない
肩の動きが悪くなり、日常生活に支障が出ている
1年以上経過しても回復しない

この記事を書いたスタッフ
医師
中島 駿
肩関節、スポーツ整形外科を専門としています。ADLの改善、スポーツへの早期復帰のために、1mmの精度にこだわり関節鏡視下手術を行なっております。鏡視下手術やリハビリテーションに加えて、体外衝撃波、PRP(再生医療)、Coolief治療、動注療法等の先端医療の選択肢も合わせて、患者様にとってベストな医療を提供できることを心がけています。早期スポーツ復帰、痛みに悩まされない生活のためのサポートを全力でさせていただきますので、いつでもご相談下さい。
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